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農政.農協ニュース

担い手所得に安全網 構造改革の加速図る
農業基本計画の抜本見直し開始 (9/2)

 大型農家ほど農産物価格下落の痛手が大きい。これを規模拡大の障害として農水省は、担い手の経営所得安定対策などをテーマに食料・農業・農村基本計画を抜本的に見直す。所得対策は現行の計画を作った時からの宿題だ。見直しは、国や自治体が生産者に補助金を出す「直接支払い」の実施もにらむ。品目別の価格安定対策から、品目横断的な政策に移行し、担い手の所得変動を緩和する仕組みを検討する。
 農家の零細化に歯止めがかからず、耕作放棄地が増え、農地利用の集積も進まない。このままでは平成22年をめどにした「望ましい農業構造」の実現は難しいという認識が農水省にある(大臣官房企画評価課)。 このため価格下落に対する安全網(セーフティネット)を整え、担い手の経営安定を図り、構造改革を促進するのが見直しの重点課題だ。米価の下落対策である「担い手経営安定対策」との整合性もとる。
 今年の農業白書は、離農で手放された農地が規模拡大を目指す経営体に集積されるのなら「構造改革を加速させる好機として捉えることができる」とした。
 基本計画は食料・農業・農村基本法に基づく農政指針で平成12年に初めて策定し、5年ごとに見直すことになっているが、その後▽米政策改革▽BSE発生▽食品の偽装表示▽WTO対策などの変化があるため早々と現行計画実行の検証を今年度から実施する。
 亀井善之農相は8月29日見直し作業の開始を指示。その中で現行計画策定時からの宿題として▽農業環境政策▽農地利用政策のあり方も挙げた。
 見直しは総ざらいとなる(同企画評価課)。所得政策では収入保険方式も所得補償と並べて検討する。
 また食料自給率45%の目標も見直す。農業白書は総合食料自給率をカロリーベースだけでは捉えられないから金額ベースの概算70%を「あわせて示すことも重要である」としている。コメ自給率が高いため主食用穀物自給率も重量ベースでは60%と高い。
 白書は自給率を「長期的には低下傾向にある」としており、カロリーベースで表す自給率目標が引き下げられる可能性もある。 (2003.9.2)

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