(財)日本不動産研究所は、昭和34年以降、田畑価格などの全国的な動向を把握するために実施してきている「田畑及び山林価格調査」の15年3月末の調査結果を公表した。
この調査では、生産力や耕地条件などによって田畑を「上の中」「普通」「下の中」に区分しているが、15年3月末の「普通」の全国平均田の価格(10aあたり、以下同じ)は、101万4525円、畑は57万6010円で、前年に比べて田が1.1%、畑が1.6%低下している。田は平成5年から11年、畑は同4年から12年連続の価格低下となり、田価格は昭和57年の106万6039円を下回り、昭和56年の100万0023円に近い水準に落ち込み、畑も昭和56年の59万5639円を下回る水準となってる。
地区別に価格をみると田では、関東が139万1489円ともっとも高く、次いで近畿(132万1846円)四国(127万5644円)で、東北、中国、九州は全国平均から14万〜22万円程度下回っている。またもっとも田価格が低いのは北海道で29万1105円となっている。
また、田価格の前年との変動率をみると、全地区で低下しているが、北海道(△2.1%)、東北(△1.7%)、近畿(△1.1%)四国(△1.8%)、中国(△1.3%)、九州(△1.1%)と、北海道、東北と西日本の各地区での低下率が高くなっている。
同様に畑をみると、価格がもっとも高いのは関東で104万6907円。次いで東海(85万6360円)東山(82万7205円)で、もっとも低い北海道は12万7142円となっている。変動率は東山が前年と同価格以外はすべて低下しており、北海道(△3.1%)、東北(△1.9%)、近畿(△2.2%)、中国および四国(△2.4%)、九州(△1.7%)、沖縄(△3.1%)と、田と同様の傾向がみられる。
北海道は田が21年、畑が20年連続、東北は田が18年、畑が17年連続、九州は田畑とも16年連続して低下しており、長期低落状況にあるといえる。
こうした田畑価格の低落理由について同調査は、
(1)米消費量の減少、輸入野菜などによる農畜産物価格の下落
(2)農業後継者の減少
(3)農業経営の先行き不安が積極的経営の足かせになっている、ことをあげ、「このため、農地を購入してまで経営規模を拡大することができない地域が多い」と分析している。
(2003.10.15)