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JA青年部と学校のネットワーク話題に 子ども農業体験活動フォーラム (3/3)

JA青年部員らが食農教育の新しい形を語った子ども農業体験活動実践フォーラム(3月3日、東京国際フォーラム)
JA青年部員らが食農教育の新しい形を語った
子ども農業体験活動実践フォーラム
(3月3日、東京国際フォーラム)
 東京都目黒区の小学生たちは毎年、宮城県角田市の農家に泊まり込んで農業体験の学習を続けており、また和歌山県・JA紀南青年部の地元小学生に対する体験指導では、親たちの農業に対する理解も深まっているなどのモデル活動が、3月3日に都内で開いた子ども農業体験活動実践フォーラムで紹介された。主催は同実践研究会とJA全中。パネルディスカッションでは食農教育の新たな形などを語り合った。

◆青年部が“出前”

 モデル活動についてJAみやぎ仙南角田地区の星智宏・前青年部長と三品典俊現部長は「平成3年から青年部員が目黒区の小学校へバケツ栽培など稲作指導の“出前”に出かけ、中には校庭に水田を作ったこともある」などと報告した。自由ヶ丘など、しゃれた感じの住宅街にある学校に水田が出現したという話に会場には感嘆の声も上がった。
 部員はチームを組んで出向き、昨年までに延べ約130人が6校で指導した。
 なぜ、こんなネットワークができたのか。そこにも意外な話題が飛び出した。区立緑ヶ丘小学校の志茂暁子校長は、室町時代に「目黒邑(むら)を本拠としていた豪族が角田に移住した縁がある」という。そして昭和57年に区民がゆかりの地角田を訪問したことが交流の先駆けとなった。
 その後▽市と区が小中学校から希望者を募集して角田で体験農業交流会を毎年夏に開催▽緑ヶ丘小5年生が田植えと稲刈りの現地体験学習を実施▽同校の先生だけによる夏休みの現地実習……などへと発展した。
 同校が農業体験を重視するのは「今の子どもに最も欠けているのは自然とのふれあいだから」と志茂・前校長は語る。学校農園では5年生が稲作り体験を下級生に伝える仕組みもある。
 こうして目黒区内の小学校は角田産のコメを学校給食に使うようになった。

◆校庭に壮観な風景

 一方、JA紀南青年部上秋津支部の中山英行支部長と山本智也副支部長は「子ども農業体験活動を部活動の中心テーマに地元の上秋津小学校の児童にミカン作り、ウメ作りを指導している」と報告した。
 子どもたちが収穫したウメを校庭に干している風景は壮観だ。それを映像で紹介した。農業体験学習は稲作りが多いが、さすが日本一のウメ産地、ここでは小学校にも梅干原料が並ぶ。また子どもたちはジュース作りも経験するという。
 上秋津地域は田辺市の郊外だが、旧市街から移住する市民が多く、混住化が進んでいる。このため果樹園芸に欠かせない施肥や消毒の作業を「臭い」とか「洗濯物が汚れる」などという新住民が増え、農家との共生が課題となった。
 そこで「農業をしづらくなる」現状を打開したいとの旧村民の願いや農業改良普及センターの働きかけもあって、学校では、地域づくりを「総合的な学習」のテーマとし、その軸に農業体験学習を位置づけた。

◆農業教育は“おやじ復権運動”

 こうして町内24団体が地域づくりの組織をつくり、JA青年部が核となって農業体験学習を指導。今では新住民の子どもたちが道で出会った青年部員にニコニコ顔であいさつ。農業に親しむ子どもの影響で親たちも農業を理解してくれるようになったとのことだ。
 報告後のパネルディスカッションでは▽子育ては家庭と学校だけではダメ。地域ぐるみの観点や、よその子を叱るといった気風も必要▽子育て世代のJA青年部が農業体験指導に意欲的なのは、教育をおかあちゃんだけに任せない“おやじ復権”運動としても、まことに頼もしい▽特産品などの郷土自慢を持つことは、郷土愛を育むことになる、などの指摘があった。
 なおフォーラムでは絵本作家いわむらかずお氏の記念講演もあった。 (2004.3.8)



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