7月16日、WTO(世界貿易機関)一般理事会の大島議長は農業分野を含めた枠組み合意原案を加盟国に示した。
関税削減方式では、重要品目への配慮を明記したが、高関税品目ほど大幅に削減する「階層方式」を採用するとしている。また、上限関税についても言及しており政府は内容を精査して対応方針を決めることにしている。
■重要品目に一定の制限
大島議長が示した原案は農業以外の分野も含めた全体の枠組み合意案で農業分野は付属書のかたちで示された。
農水省は上限関税については日本など輸入国で構成するG10の主張に一定の配慮がなされ事実上先送りしたものとしているが、重要品目を別扱いしつつ、「階層方式における上限関税の役割についてさらに評価する必要」との記述もあり、この意味を明らかにするよう求めていく。
重要品目への配慮が明記されたことについてはG10がその扱いを例外ではなくルール化するよう主張したことが受け入れられたと農水省はみている。
ただし、重要品目の数については、現在の関税割当品目数がほぼ上限としており、この制限でわが国の重要品目への配慮が十分かどうか検討する。
重要品目以外の関税削減方式は「階層方式」を適用するとしたが、階層の数、階層ごとの範囲、具体的な関税削減方式については今後の協議に委ねるとしており、重要品目も含めた関税削減方式の全体像は依然不透明な部分が多い。
■「義務的拡大」が焦点
また、重要品目の「実質的な市場アクセス改善」は「関税削減と関税割当拡大の組み合わせ」との記述や、個々の品目においてなんらかの拡大の要素が必要、といった記述がある一方、「センシティビティへの配慮」も必要とされていることから、これらの意味についても明確化を求める。原案の意図が、重要品目について義務的な輸入量の拡大を求めたものかどうかが焦点だ。
一方、国内支持では、貿易歪曲的な助成の全体的な削減を明記したが、日本にとって厳しい内容となる「品目別AMSの上限設定」とその上限の削減にも言及されている。わが国にとっては大きな焦点となる。
また、輸出競争については輸出補助金と輸出信用の輸出補助金的要素の撤廃期限の設定などを行い、すべての輸出補助金に対して同等の規律を適用するとしている。
ジュネーブでは19日に主席代表者会議を開き同案が説明された。ただ、対立点は多く今月末の枠組み合意までには協議は難航するとみられる。 (2004.7.20)
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