農業協同組合新聞 JACOM
   
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集出荷施設の収支改善促進へ
全中が10月に方針案 (8/25)


 赤字のカントリーエレベーター(CE)やライスセンター(RC)を抱えたJAが多いが、これらコメ集出荷施設の収支改善を強力に促す方針の検討を、JA全中が始めた。全中の経済事業改革中央本部が10月26日にまとめる予定の「経済事業改革基本方針」素案の中に収支改善を図る課題を盛り込む考えだ。
 検討内容は(1)全国の施設ごとに組合員らの利用実態と収支を明確にする(2)各JAが主体的に改善策を策定する(3)施設を統廃合する場合は、政府の「地域再生プログラム」を活用する、の3点が中心。
 実態調査は園芸施設も対象とする。またコメの施設が多いところなど数県域をモデルに設定しながら改善を進める。改善策はJAの自主的判断で統廃合や転用などを決め、来年度までに3カ年計画を作り、県中央会などが実行を支援する。
 CEは全国に773、RCは1795(平成14年度末)。うちCEの利用率は13年産米で全国平均69.4%(農水省調査)となっており、調査対象の3分の1は60%を下回っている。新たなコメ政策で、その後も集荷率が下がり、向上は見込めない状況にある。
 収支均衡の分岐点は利用率70%(全国農協CE協議会)だからCEの多くは赤字運営だ。全中の農協経営分析調査(対象71JA)ではCE、RC、園芸施設を含めた利用事業部門の事業損益(共通管理費配賦前)は1JA平均で約939万円の赤字となり、全国的には合計100億円程度の赤字額となるのではないかとの予測もある。
 全中の同中央本部は8月25日の委員会で、こうした実情や、また▽来年度に導入される減損会計で赤字・遊休施設を損益に計上するJA▽固定資産が自己資本を上回って固定比率基準を超えるJAへの対応などを検討し、全国共通の改善対策に取り組むこととした。JA改革を促す改正農協法は、全中が基本方針を作ってJAを指導することを定めたため改善対策を基本方針素案に加える考えだ。
 同素案は、先に打ち出した経済事業改革指針の3本柱に▽改善対策▽営農指導事業強化を加えて5本柱になる予定。
 なお、補助事業でつくった集出荷施設などを他目的に転用したり、廃止した場合は、補助金返還を求められるため、遊休化したままになっている施設が増えていることから、政府は先に転用を弾力的に認める「地域再生プログラム」という緩和措置を実施した。
 地方公共団体が地域の活性化に役立つ転用計画を策定し、これを国が認めれば転用できるという内容であるため、全中は施設の統廃合に関しては、この制度の活用を図るという方針を打ち出している。 (2004.8.30)



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