■水田での飼料生産が課題
9月16日に再開された審議会企画部会では農水省が提出した食料自給率の現状と食育政策について意見交換した。
食料自給率について農水省は22年度の45%目標は達成困難との判断に対して、「その要因分析が大切」と多くの委員が指摘した。
JA全中の山田俊男専務は自給率目標は現場で注目されているとし、「個別政策の検証と評価が必要」と指摘した。また、飼料作物の生産が減少していることから、「水田作に対して経営を単位とした政策を導入するなら、麦、大豆だけでいいのか。水田への飼料作物と大家畜の導入政策を打ち出し直接支払い制度の対象とすべき」と自給率を向上させるための施策として作物対策の重要性を強調した。
そのほかにも、「飼料用稲(ホールクロップサイレージ)の生産は日本にとっては希望の持てる作物」、「自給率低下の要因を分析して、水田で飼料生産をするという政策になれば減反政策も変わるのでは。農家が誇りをもって働けるどうかが大事」など飼料自給率の向上が課題とする意見があった。
また、「たとえば、大豆は県産100%を使用をめざすなど、これだけは自給しようという具体策が打ち出せないか」、「輪作体系の整備、畜産の粗放化など農法の改革や耕地利用率の向上にまで踏み込んだ対応が求められている」などの指摘もあった。
■基本は自国の生産
消費者委員からは「現状は60%の食料を他国に依存しているということ。自国の食料に責任を持つ方針を明確にすべき」、「何のための自給率目標かを明確に。日本人はいざという時に何を食べるのか、それは米ではないかといった観点で考えるべき」などの指摘のほか、消費者の課題として「食の安全・安心に関心が高まっているというが、一方で食習慣の乱れもあってギャップが大きい」、「食生活のあるべき論はなかなか浸透しない。子ども、子育て世代などターゲットを絞って食育を推進すべき」、「食育と聞くと対象は子どもたちと思いがちだが、実は20〜30代の男性が問題になっている」など今後の食育にも意見があった。
一方、自給率目標の議論の仕方については「政策の目標は自給、食の安定供給のための仕組みを作ること。数値はその仕組みがうまくいったかどうか検証するものさしではないか」、「消費者が望む食に国内生産がどれだけ答えたのかの結果。いわば通知表のようなもの。数値を先行させた議論をすべきではない」との意見や、目標とする自給率もカロリーベースではなく、カロリーの低い野菜や果実などの国内生産力を反映できる金額ベースも合わせて示すべきとの指摘もあった。
今後の議論について生源寺部会長は、「今後も施策を明確に検証し方向を考える議論をする。年明けに数値目標の検討に入り来年2〜3月に最終的な数値の議論をすることになる」との見込みを示した。
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