農業協同組合新聞 JACOM
   
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自給率向上に結びつく政策議論を
−企画部会 (10/15)

 農水省が品目横断的な直接支払い政策について説明した10月15日の企画部会では「何のための直接支払い政策か」、「担い手は地域の実態に合わせて決めるべき」などの意見が出された。
 新開玉子委員(農業、福岡県指導農業士)は「担い手に施策を集中という前に、自給率向上にどう結びつくのか、いつもそこから議論に入ってほしい。これだけ自給率が低い日本の食料と安全な食をどう確保するのかの政策ということから議論すれば消費者の理解も得られる」と強調した。また、担い手についても農業の担い手と「地域や多面的機能を支える担い手を分けて考えるべき」と指摘した。
 森本一仁委員(元JA全青協委員長)は「具体的に地域でどういう政策になるのかイメージがまだわかない。生産者が自分の足で歩ける政策を」と話した。
 また、政策の対象となる担い手の要件について村田泰夫委員(朝日新聞編集委員)は「右肩上がりに規模拡大を考えるのではなく、要件は階段状に設定し、その一定期間に規模拡大できる意欲と計画があるなら支援対象にするという考え方が必要。数年間は安心して営農ができるような制度とすべき。市場開放と共存できる政策となる」などと指摘した。
 安高澄夫委員(JAおんが組合長)は「施策の対象は意欲と能力のある経営だといっているが、要件は面積ではない。経営改善計画を作成できる人の育成も課題」などと指摘した。また、杉本博文委員(福井県池田町長)は「集落営農には農地を維持するための形態もある。支援対象とすべき」と主張した。

◆担い手は地域実態に合わせて

 JA全中の山田俊男専務は農水省の提示案に対し、まず担い手については「中間論点整理では手を上げる生産者や意欲ある人も施策の対象とするとの整理だったはず。今後の重要な論点だ」と指摘するとともに、農水省案では地域では極めて限られた生産者だけが施策の対象となり、「90%が対象外となるなら麦、大豆は作らなくなる。政策とはいえない」と批判した。
 また、国際規律に合わせ「緑」の政策への転換を進めることに対して、「WTO交渉では、自給率の低い国が自国の国民の消費に応える生産をするのはその国の権利、との主張もある。国際規律に合わせる政策だけでいいのか」と指摘、ほかにも品目横断的政策といいながら「麦、大豆しか対象になっていない。水田農業経営全体の視点がない」などと問題点を挙げた。
 これら委員の指摘に対し、須賀田経営局長は、集落営農については「将来にわたる持続的な集落営農をつくりあげることが必要。やはり支援には経営体としての要件が必要」との考えを示したほか、地域で担い手を明確化することは同様の考え方だとしながらも「担い手と支援対象とは分ける」と一定の条件をつける方向を示した。
 そのほか麦、大豆生産で広く生産を担っている受託組織についても山田専務は「支援対象の担い手とすべき」と主張したが、須賀田局長は「受託組織だけでは担い手とすることはできない」と反論した。次回の企画部会は10月29日。引き続き経営政策について議論する予定だ。

(2004.10.20)


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