農水省は10月15日の審議会企画部会に品目横断的政策の具体策について示した。
農水省は1日の企画部会に、最近の販売価格をもとにして年間所得530万円(40年間従事)を他産業並みの農業経営とするモデルを公表。これをもとに北海道では20ヘクタールから25ヘクタール(水田作、畑作)、都府県では10〜14ヘクタールの経営規模が必要と試算した。集落営農では40ヘクタールとなった。
そのうえで品目横断的政策の対象は認定農業者や集落営農での特定農業団体のうちで、こうした他産業並みの所得を確保できる経営規模を要件とする方針を示したが、同時にとくに水田農業では構造改革が遅れており必要な経営規模実現までに時間が必要なことから、一定の「幅」を設ける方向とした。
米政策改革の担い手経営安定対策の要件は個別経営では北海道10ヘクタール、都府県4ヘクタール。集落営農では20ヘクタールとなった。ただし、知事の特認でそれぞれ事情に応じて8割まで下げることができる。また、中山間地域の集落営農は5割まで規模を引き下げることができることとした。
この担い手経営安定対策の要件は「農業構造の展望」で示した望ましい水田農業の姿の経営規模の2分の1を基本として決めた。そのうえで今回の品目横断的政策は、担い手に絞り構造改革を進める観点から「高い基準とする」と農水省の須賀田局長は企画部で説明。対象となる規模要件を水田農業では、担い手経営安定対策の規模要件よりも引き上げる方針を示した。
■過去実績と当年支払いをセット
品目横断的経営政策は、海外との生産条件格差を是正する支援策と収入・所得の変動緩和策を組み合わせる考え方が示されていた。
このうち生産条件格差是正策は過去の生産実績に基づく直接支払い制度とするが、一方、わが国では需要に応じた生産を振興し自給率を向上させる必要があることから当該年の生産量・品質に基づく支払いも組み合わせる必要があるとされていた。
農水省はこの二つの支払いをセットとすることで、諸外国との生産条件格差の是正のための支払いとする方針を示した。
ただし、水田農業では麦と大豆が対象。飼料作物生産など国内生産で不足し今後の水田農業経営に不可欠となる品目は、今のところ対象になっていない。
また、中間論点整理の段階では、当該年の生産量と品質に基づく支払いは担い手以外も対象になるとの考え方もあり得ると生源寺部会長は指摘したが、今回、農水省が示した案では担い手に限定した支払いとする方向だ。
収入・所得の変動緩和策は所得の把握が難しく経営コスト削減の努力を減退させることから、収入を基準とする方向。 |