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本当の受益者は誰なのか マイナー作物で公開セミナー 千葉大学 (3/18)

 公開セミナー『安全で多彩な食生活を目指して−マイナー作物の農薬登録問題を考える−』(主催:千葉大学園芸学部、協賛:全中、日本生協連)がこのほど東京都千代田区のJAビルで開催され、アメリカのマイナー作物農薬登録が「国家事業」で行われていることが、改めて明らかにされた。
 2003(平成15)年3月に施行された改正農薬取締法では、無登録農薬の使用禁止、農薬使用基準の遵守の義務化などが鮮明となった。一方で、生産量が少ないマイナー作物については「暫定期間に限った」経過措置がとられ、さらに、この問題を解決するために「マイナー推進中央協議会」を発足させ、同作物への農薬登録が推進されている。
 公開セミナーは、このような背景と経過の中で行われたもので、アメリカの「IR−4」(特定作物農薬登録推進機構)のロバート・E・ホーム博士などが報告した。農業先進国アメリカでは1963(昭和38)年からすでに40年以上にわたってマイナー作物の農薬登録支援を「国家事業」として農務省、州、産業界が連携して実施してきていることが浮き彫りにされた。
 「IR−4」によると、アメリカでは栽培面積が12万ヘクタールに満たない作物をマイナー作物(日本では、年間出荷数量3万トン以下)としている。
 2003(平成15)年の登録は793件で、前年に比べ大幅に増えている(図1)。また、2003年8月の新規IR−4分類ではBT剤を中心とした生物農薬や有機合成農薬などで全体の約50%を占めている(図2)。さらに、メーカー別では製品、作物ともダウ、シンジェンタが多い(図3)。
 農務省、州、産業界が資金を拠出し、予算は日本円で18億3000万円だった。圧倒的に農務省の予算が多くなっている(図4)。「マイナー作物の受益者は、農家だけでなく消費者および食品業者など国民全体」とホーム博士は語る。
 わが国では、マイナー作物に使用できる農薬が少なく深刻な課題となっている。「国を挙げて農薬登録を進める農務省の取り組みを、是非とも参考にすべき時期にある」(本山直樹千葉大教授)という発言にも頷ける。「受益者は誰なのか」が大きく問われるところだが、このままでは安全・安心な地域特産農産物が国民の食卓から消えてしまう。
横田敏恭氏 本山直樹氏 IR-4のロバート・E・ホーム博士
横田敏恭
農林水産省農薬対策室長
本山直樹
千葉大教授
IR-4のロバート・E・ホーム博士
 
(2004.3.29)


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