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系統農薬会社「協友アグリ」設立−JA全農など (6/4)

 JA全農、住友化学、八洲化学および住化武田の4者は6月4日、東京都港区の虎ノ門パストラルで記者会見を行い、2004年11月の営業開始を目標とした系統新会社『協友アグリ(株)』を設立すると発表した。
淺山社長 生津社長
淺山八洲化学社長 生津住化武田社長
 新会社設立への過程は、JA全農が八洲化学へ追加出資し、住友化学は住化武田のJA全農を通した系統流通部門を分割のうえ八洲化学へ吸収させるというもの。園芸分野などの農薬事業を強化したいJA全農と、系統流通の構築・強化をはかりたい住友化学の思惑が一致した。
 『協友アグリ(株)』の資本金は、22億円を予定。出資比率は現在検討中だが、JA全農、住友化学、住化武田を合わせ50%以上になる。社長には、現八洲化学社長の淺山哲夫氏が就任し、社員数250名体制でのぞむ。事業所の整備も行い、3〜5年後の売上高230億円を目指す。
 記者会見には、北本孝也JA全農常務、多田正世住友化学常務、淺山哲夫八洲化学社長、生津嘉朗住化武田社長ら多数が出席した。席上、北本常務は「安全・安心を求める消費者ニーズへの対応、受託事業の強化、園芸分野の充実・強化などを通し、日本農業の健全な維持発展に貢献」を目指した新会社の横顔を披露した。
多田常務 北本常務
多田住友化学常務 北本JA全農常務
 また、淺山社長は、新会社は「推進体制の強化・充実による農家およびJAグループに対する一層のサービス向上、農家ニーズに対応した営業支援事業の強化、園芸分野の強化・拡充、研究開発体制の充実、高品質な商品の提供と環境対策などに積極的に取り組む」と、新会社の方向性を明らかにした。
 住化武田の系統流通は、全売上高の約10%に相当する約30億円。主力品は、殺虫剤成分のクロチアニジン、除草剤成分のイマゾスルフロンが中心となっており、新規開発剤もその横顔を見せている。住友化学は、殺虫剤成分のピリダリル(商品名:『プレオフロアブル』)が有力だ。

 【解説】風は時が来なければ吹かない。今回の業務提携に向けた交渉は、2003年の春から始まっていた。水面下の交渉は1年以上かかり、細かい調整の難しさを物語っている。世界ランキング7位の住友化学のメリットは何なのか。多くの要因の中で、海外展開の拡充・強化は無視できない。
 現在、国内農薬市場は、約3300億円となっている。商系64%、系統36%のウエートだ。JA全農の分野別シェアは園芸30%、水稲53%と明らかに園芸分野の成長に余地を残している。ちなみに、系統36%に対する系統3社の内訳は、クミアイ化学24%、北興化学21%、八洲化学11%と3社合計で約60%弱となっている。
 今回の件について関係者の話を聞いてみると、「(提携が)絵に描いた餅にならなければよいが」、「給与体系はどうするのか」、「系統3社の統合はどうなるのか」などの心配する声と、「三笠化学との提携がここにきて初めて生かされた」、「国内再編の試金石となる」などの応援の賛歌との、両論に分かれた。系統3男の八洲化学は生き残り、国内業界再編に新たなレールが敷かれたものと見る。 (2004.6.8)



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