JA共済連(新井昌一会長)は、自動車共済の新たな仕組みとして、家庭用自動車共済で、メイン保障である人身傷害共済金等の支払いをするとともに、車いすなど福祉用具を現物給付する「福祉用具借入費用共済金」を新設することを決めた。今月中に監督官庁である農水省の認可を受け、4月1日以降の新契約から実施される予定だ。
この仕組みは、家庭用自動車共済の契約者とその家族および同乗者で、交通事故で後遺障害等級が第1級〜第5級の状態になった人が対象となる。上記の人が希望すれば、JA共済の専門担当者のアドバイスを受けながらJA共済が提携する福祉用具貸与業者から車いす・自立支援ベッド・歩行器・スロープなどの福祉用具を借り入れ、300万円を上限に2年間その費用を給付されるというサービスである。
交通事故の後遺症に苦しむ契約者や家族は多く、適切な福祉用具を選択し購入することは大きな負担になっている。このサービスによって、福祉用具の貸与サービスと費用保障が一体的に提供されるようになり、共済利用者の利便性が大きく向上することになる。
しかも現在、多くのJAが介護サービス事業を実施しているが、これと連携することで、共済加入者のCS(顧客満足度)の向上、JA介護サービスの理解促進をはかることもできる。さらに、介護保険に規定されている福祉用具を対象としているので、公的介護保険の補完機能を発揮するという側面もある。
自動車共済(保険)は、外資系損保会社も多く競争の激しい分野だが、こうしたサービスはJA共済が初めてであり、今後、損保業界に大きな波紋をよぶことになるだろうが、別府と中伊豆のリハビリセンターや全国のJA介護サービスなど、充実した専門家や施設をもつJA共済の手厚いサービスに匹敵するサービス提供は難しいといえる。
そのため、このJA自動車共済独自サービスは、家庭用自動車共済をアピールする力強い武器となることは間違いないだろう。 (2004.1.8)