昨年末に就任したカナダのスペラー農相は1月13日に来日し、BSE問題で亀井農相と会談した。
昨年5月にカナダで発生したBSE(牛海綿状脳症)にともなって日本は同国からの牛肉などの禁輸措置を継続している。会談でスペラー農相は、輸入解禁を直接要請しなかったものの「実践的な解決をしていきたい」と両国の専門家レベルでの協議の場を設置することを提案。亀井農相もこの提案に合意した。また、スペラー農相はBSE問題を「北米全体で解決していきたい」と米国と連携する方針も示した。
ただ、牛の検査など安全性確保策については認識に大きな隔たりがあることが明らかになった。
亀井農相はわが国では出荷される牛の全頭検査と脳、脊髄など特定危険部位(SRM)を除去する対策で消費者の信頼が回復してきたとし、輸入再開の条件もこれと「同等の対策が基本」と改めて説明した。
これに対し、スペラー農相は、歩行困難や神経症状が認められるなどBSE高リスク牛のサーベイランスを年間5500頭から8000頭に引き上げる方針であることや、SRMの除去も30か月齢以上の牛については行っていることを説明、最近ではカナダ国内の牛肉消費が回復してきたこともあげ「日本と同等の対策が取られていると思う」と語った。
こうした主張に亀井農相は「科学的根拠がなく、これでは(日本)国民の理解を得ることは難しい」と反論。
昨年、日本の全頭検査によって30か月齢以下の牛からもBSEが発見されたことは、それまでの常識をくつがえす世界的な知見。こうした根拠に基づかず、「日本と同様に安全」と主張するのなら実践的な協議といっても難航は必至だ。 (2004.1.15)