JA青年部は若い農業者を育成する組織になっているのか、JAにとって青年部とは何か、などの疑問を出しながら、全国農協青年組織協議会(JA全青協)とJA全中が設けた研究会は、JA青年組織の「今後10年先を見据えた方向性」を議論。2月4日に最終報告を出した。報告は「青年部をJAの担い手として育成していく、という認識を明確にすべきだ」などJAに対する要望が多い。
現実には、青年部を次世代の中核を担う組織として位置づけているJAは総体的に少ない、とした。
JAとしては、青年部を組合員組織と位置づけ、とくに金融などの事業推進の受け皿としてではなく、営農指導・販売・購買事業では、青年部の意思を反映した企画・運営が必要であると提言した。
青年部活動は支所単位が基本だから、各支所の営農担当課長クラスが青年部事務局を担い、支所長が責任者となるよう配慮すべきだとの方向も示した。
JA全青協は今年創立50周年。しかしピーク時に40万人を数えた盟友が、農業者の減少とさらに最近の少子高齢化の波で今は8万2000人。組織化率も66%と低下した。そこで今後の50年も生き残れるようにと当面は10年先を展望する「JA青年組織育成対策研究会」を設けて方向をまとめた。
報告は「全国農協青年統一綱領」がうたう「理想農村の建設」は今後も青年部の使命だとしながら、「地域農業の担い手である青年部の役割は地域社会の核として今後さらに重要性を増す」と指摘した。
この報告を受けてJA全青協は、全体として綱領の表現を今日的に改め、わかりやすくする。
このほか報告は、国民や地域ぐるみの視点から、安全・安心や食農教育の取り組みなどを綱領に反映すべきだと提言した。
さらに「青年部は若い農業者を育成する機能を持つ組織」だから役員は40歳未満、また活動の中心となる盟友は45歳未満とすべきで、それ以上は「壮年部」などの新たな組合員組織の設置も検討すべきであるとの方向も出した。
原拓生JA全青協会長は「この報告はJAグループ全体に示し、いっしょに議論するたたき台だ。綱領は50年前にこめられた思いを検証するが、当時は消費者の視点がなかった。時代感覚に合わない綱領のもとに盟友は結集できないから、今日的に欠けている点を議論し、来年3月には新しい綱領を決定したいと語った。
なお研究会は青年部長のほかフレッシュミズや中央会部課長などで構成。第3者の視点から報告をまとめた。座長は金子弘道日本経済研究センター研究委員。 (2004.2.6)