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あいさつする農林中金の上野博史理事長 |
JAバンクの第1線で功労のあったJA役職員に感謝状を贈り、JAバンクの一層の発展を目指して関係者の決意を新たにする第3回JAバンク全国大会が2月18日、東京・赤坂プリンスホテルで開かれ、表彰式などのあと大会宣言が力強く採択された。宣言では「JAバンクローンの伸長による収益力の強化と、店舗再構築をはじめとする効率化策により、安定的収支構造を構築する」などの実践を申し合わせた。同大会の前身は昭和28年にスタートした「農協貯蓄推進全国大会」で、通算すると今年は51回目となり、半世紀の歴史を経てきている。
◆店舗再構築も宣言 中期戦略の実践誓う
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JAバンクのイメージキャラクターである女優岡本綾さんのトーク |
農林中金の上野博史理事長は主催者あいさつで、来年4月予定のペイオフ全面解禁をひかえた金融情勢について、主要行には引き続き不良債権処理の強化など、また地域金融機関には中小企業金融の再生に向けた取り組みが求められていることなどを挙げた。
また昨年12月に策定した「JAバンク中期戦略」(平成16〜18年度)を説明。JAの厳しい収支見通しを踏まえ「向こう3カ年で収益回復に確実な結果を出さなければ次の3カ年はない」との強い危機感のもとに行動計画に取り組む必要があると強調した。
来賓あいさつではJA全中の宮田勇会長が中期戦略について「今後、全国のJAの合計で償却引当後1000億円以上の信用事業利益の確保に向けて、ローン伸長を図るとともに、店舗再構築など効率化によるコスト削減に取り組むことになるが、その着実な実践と、一層の連携をお願いしたい」と戦略展開に期待を表明した。
次いで全国表彰に移り、個人貯金と、住宅ローンの残高伸長で優秀な成績を収めたJAのうち全国上位20JAを表彰した。この制度は今年初めて設けられた。
個人貯金はJAバンクの信頼性を示す重要なバロメーターであり、また住宅ローンは収益力強化の柱となるため15年度JAバンク重点実践事項は、両方の残高の伸び率について数値目標を掲げて取り組んだ。
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「デフレ構造をどう乗り切るか」記念講演をするジャーナリスト嶌信彦氏 |
貯金、ローンともに高い伸びを実現したJAわかやまの中畔達夫組合長が全国表彰20JAを代表して上野理事長から表彰状を受けた。
このあとJAバンクのイメージキャラクターである女優の岡本綾さんの紹介があり、午後はジャーナリストの嶌信彦氏が「デフレ構造をどう乗り切るか?〜元気な企業と地域〜」と題して記念講演した。
同氏は「大企業がもうけても中小企業や地方はうるおわない」今の経済構造を指摘。「カネの運用は大変だが、先を見すえた融資で新しいアグリビジネスの育成を」と提起した。
また「日本のおいしい食べ物を輸出する時代がきている」「地域振興は農業と中小企業と観光を組み合わせないとうまくいかない」などと語った。
最後に、四つの実践事項(別項)に取り組んで「我が国農業生産の発展と地域住民の生活向上に貢献するという(JAバンクの)基本的使命を果たし続けることを誓う」という大会宣言を採択した。
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個人貯金と住宅ローンの残高伸長で優秀な成績を収め、上野理事長から表彰状を贈られるJA組合長 |
【全国表彰された農協の組合長(敬称略)】
岩手・大船渡市・藤榮喜▽宮城・みどりの・木村春雄▽栃木・足利市・古郡長三郎▽岐阜・岐阜市・栗本弘▽同・西美濃・藤井稔▽愛知・なごや・梅村光雄▽同・あいち三河・小嶋彰▽大阪・北大阪・本琢▽同・堺市・津塩壽郎▽兵庫・みのり・津田篤男▽和歌山・わかやま・中畔達夫▽島根・くにびき・太田紀道▽広島・安芸・伊藤忠治▽同・佐伯中央・齋藤環▽山口・山口宇部・黒P一實▽徳島・名西郡・井内仁▽愛媛・松山市・宮内順三▽福岡・福岡市・倉光一雄▽同・福岡八女・樋口和典▽宮崎・都城・横山勉。
【感謝状を贈られた功労者のみなさん】
北海道・東北地区
<北海道>いわみざわ・長谷川幸男、東神楽・豊田英昭
<青森>ごしょがわら市・白戸勝一、津軽北部・鈴木文次郎
<岩手>花巻・高橋淳、大船渡市・下田初雄
<宮城>みやぎ登米・渡邊勝志、みどりの・桑原政俊
<山形>東根市・青柳忠、酒田市袖浦・橋豊
<福島>郡山市・蜿タ清一郎、会津いいで・菊地孝
関東・甲信地区
<茨城>土浦・宮本幸男、北つくば・平間敬章
<栃木>足利市・柿澤勝一、上都賀・渋江正雄
<群馬>群馬板倉・関野學、利根沼田・佐藤政男
<埼玉>南彩・安野富夫、さいかつ・吉田力
<東京>町田市・河合勗、マインズ・熊澤真一
<神奈川>さがみ・加藤俊明
<山梨>中巨摩東部・飯沼堅太郎、甲府市・坂本松雄
<長野>信州うえだ・間島重隆、グリーン長野・小川優
北陸・東海地区
<新潟>柏崎・村田兼藏、しおざわ・松崎紀一郎
<富山>富山市・秋元敏夫、いみず野・森田耕作
<石川>能登わかば・橋本豊、石川かほく・山崎兵孝
<福井>福井市・山田俊臣、花咲ふくい・西f
<静岡>大井川・萩原良和、とぴあ浜松・松下敏男
<岐阜>本巣郡・佐野芳彦、岐阜北・江崎光雄
<愛知>愛知西・熊澤宣明、豊橋・中野惠夫
<三重>一志東部・山下広巳、三重中央・吉田利雪
近畿地区
<滋賀>新旭町・澤田九一郎
<京都>京都中央・石田義見、京都・中井憲二
<大阪>岸和田市・辻村登、大阪南・大村光俊
<奈良>奈良県・安川佳延、中出篤伸
<兵庫>丹波ひかみ・開田和、あかし・田中義一
<和歌山>紀州中央・坂口善治、紀南・虎伏章
中国・四国地区
<鳥取>鳥取いなば・石破幸夫
<島根>やすぎ・遠藤郁夫、いわみ中央・山縣秀基
<山口>山口宇部・伊藤秀彦
<徳島>徳島市・田中遙泰、東とくしま・小出一郎
<香川>香川県・安藤正博、堀江博
<高知>土佐あき・大野勝清、高知市・矢野正洋
<愛媛>周桑・越智哲雄、愛媛たいき・山本薫
九州・沖縄地区
<福岡>福岡市・渡邉宏、久留米市・笠幸夫
<佐賀>白石地区・関省三、佐城・田中彰
<熊本>熊本市・横田健、玉名・大久保和也
<大分>別府市・佐藤洋、大分市・小川和昭
<宮崎>宮崎中央・森永利幸、児湯・黒木光男
<鹿児島>そお鹿児島・西高一規、鹿児島くまげ・塩釜三郎
【上野博史・農林中金理事長あいさつ(概要)】
昨年の第23回JA全国大会は「JA改革の断行」をスローガンに消費者への安全・安心な農産物の提供や組合員の負託に応える経済事業改革等を確実に実践することを掲げました。
その中で信用事業は、平成14年1月にスタートした「JAバンクシステム」による一体的な事業運営のもと、(1)ペイオフ全面解禁に向けたリスク管理体制の整備・強化を早急に推し進める、(2)効率的な業務運営の再構築によるコスト削減を図る、(3)担い手農業者への金融対応強化やローン伸長に取り組むこと等を打ち出し、16年度から始まる「JAバンク中期戦略」で具体化を図ったところです。
この「戦略」は、JAバンクシステム運営開始後、初めて策定する3カ年戦略で、従来の事業戦略レベルから1歩踏み出した「経営・事業の総合的戦略」を指向し、JAの対顧客業務から、信連・金庫のリテールサポート業務までの領域を対象とする、いわば「ひとつの金融機関」の中期経営計画にあたるものです。JA全国大会におけるJAの厳しい収支見通しをふまえ、「向こう3カ年で収益回復に確実な結果を出さなければ次の3カ年はない」との強い危機感のもと、(1)ローン伸長を柱とした収益向上策、(2)店舗再構築を中心とした経営・業務の効率化策、(3)JAバンクの独自サービスの強化・創造による顧客基盤拡充策により、経営数値目標として提示した利益水準の達成に向け、JAバンクをあげて取り組んでいく必要があります。
【大会宣言(概要)】
1、JAバンク基本方針を遵守し、来年に控えたペイオフ全面解禁に向け、財務の一層の健全化と体制の整備・向上に取り組むことにより、JAバンクシステムの信頼性を確保する。
2、JAバンクローンの伸長による収益力強化と、店舗再構築をはじめとする効率化策により、安定的収支構造を構築する。
3、各JAの立地条件や体制に応じた事業の「選択と集中」により、農業担い手への支援、高齢者・年金受給者へのサービス向上、地域住民への各種サービスの提供に努めることにより、顧客基盤を拡充・強化する。
4、以上の改革を推進していくためのリーダーシップの一層の発揮と、実践を担う人材の育成に努める。
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(2004.2.24)