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追悼文集『「正気の島」を求めて 三輪昌男 その人と足跡』 |
昨年2月16日に76歳で永眠した國學院大学名誉教授の故三輪昌男氏を偲ぶ会が、22日、東京・虎ノ門パストラルで開かれ、関係者約100人が集まり、故人の業績や人柄をあらためて偲んだ。
会では、元協同組合学会会長の斎藤仁氏が三輪氏の業績を紹介。「協同組合に関する膨大な論文を残した。なかでも農協についての提言の多くは辛口だったが、農協陣営からは敬愛されていたのではないか。それは農協の内部に立ち、苦楽をともにするという姿勢で発言をしていたからだと思う」と述懐し、人間尊重の組織である協同組合によって「狂気の世界を正気の世界に変える」ことを終生の思想とした学者だったと語った。
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会場ではかつて出演したテレビの対談番組も上映された |
今村奈良臣東大名誉教授は、かつて農村の現地調査での議論を懐かしく振り返り、また、近藤博彦農林漁業団体職員共済組合理事長は、JA全中から発行した『自由貿易主義批判』(JAブックレット)などの著作を改めて評価したほか、三輪氏が監修を続けた『世界と日本の食料・農業・農村に関するファクトブック』について「思想を持った編集をされていた。ファクトブックを作りながら日本農業を見つめ続けていたのではないか」と語った。
なお、三輪氏の追悼文集『「正気の島」を求めて−三輪昌男 その人と足跡』(三輪昌男先生追悼文集刊行会編、信山社)が今月刊行された。関係者60人あまりの追悼文のほか、著作目録も収められている。 (2004.2.24)