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今がチャンス もっとわかりやすい情報を 全農ふれあい懇談会で強い要望 (2/25)

全農の第5回ふれあい懇談会で、あいさつする田林聰理事長(2月25日、JAビル)

 「BSEや鳥インフルエンザ……いやでも食料に関心を持たざるを得ない危機的状況は、JAグループにとってチャンス。今こそ自給率問題などの情報発信を力強く」「だがJAは輸入減少をカバーする行動を起こしていない。もっと積極的な対応を」など首都圏の主婦や農業者から、今を国産品巻き返しのチャンスとする発言が、2月25日に開いたJA全農の「ふれあい懇談会」で相次いだ。
 全農からは田林聰理事長らが出席。「成牛になるまでには2年以上かかるため、すぐには輸入減に対応できかねる。鶏肉は65%が国内自給だが、外食産業などは大半が輸入品を使っているから、そこへのマーケティングが課題。しかし価格に問題がある。供給側としてはもっと努力が必要だ」などの説明があった。
 内外価格差では、消費者から「例えば海外のコーヒー農場では子どもまでが、わずかの時給で働いており、輸入品が極端に安い背景には、そうした事情もあることを考えないといけない」との指摘が出た。
 情報発信では「和牛と国産牛はどう違うのか」という質問も出て、食の情報がはんらんする中では「もっとわかりやすい情報」を求める声が強く、「全農安心システム米についてホームぺージを開いたが、農薬のことなど生産履歴が専門的に詳しく載っていて、消費者にはわからなかった。もっと簡潔にわかりやすく」との例も出た。
 食農教育では▽JAは体験学習の場をもっと積極的に提供すべきだ▽関心のない先生もいるから総合学習に食育を組み入れるよう国に働きかける必要がある、などの意見が出た。
 「もっと近くに」を合言葉に消費者らと語り合う同懇談会は一昨年スタート。今年度は2期目で、昨年7月から5回の懇談を重ねた。この日の意見を含めて今期の提言を近くまとめ、全農理事会に報告する。
 提言の柱は(1)安全・安心な食料の提供(2)環境に配慮した農業の展開(3)子どもたちへの食農教育の強化(4)消費者と生産者を近づける取り組み、となった。
 新年度も委員の顔ぶれを変えて懇談会を続ける。
 なお、第4回までに出た発言の中から農業者の意見を拾うと、「農薬を使ってはいけないという消費者に対して、安全をどのように伝えればよいのか。作物は年1回しか作れない。病気や虫食いがあれば終わりだということを消費者は理解してほしい」などがあった。 (2004.2.27)


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