■「基本計画」見直しで新たな基本政策の実現を
JAグループは16年度畜産・酪農対策の政策提案を2月のJA全中理事会で決めた。
JAグループの基本的な認識は、米国でのBSEやアジア諸国での鳥インフルエンザの発生で畜産物の安定供給に支障が生じ、わが国の畜産・酪農の役割が改めて重要となっていることから、国民の食の安全・安心を確保する視点に立った輸入対策を講じるとともに、食料自給率、生産努力目標をふまえた国産畜産物の安定供給のための基本政策の確立が必要だとしている。
また、今年11月からは家畜排せつ物法が完全施行されることに対応した、畜産環境対策の整備も最重要課題だとしている。
◎新たな畜産・酪農基本政策の確立を
JAグループは、WTO・FTA交渉など国際化の進展、国際的な家畜伝染病の広がりや、国内での「基本計画」の見直しをふまえて「中長期的視点に立った新たな畜産・酪農基本政策」の確立を求めていく。
また、新たな基本政策では、生産者が将来を展望できる経営安定対策や環境対策、耕畜連携対策などの施策と十分な予算確保が必要だと要請。地域にねざした食農教育の一層の強化も掲げた。
◎補助つきリース事業に十分な予算確保を求める
畜産環境対策で、最重要課題としているのが家畜排せつ物処理施設の整備対策。
11月1日からの家畜排せつ物法の完全施行をうけて、補助付きリース事業予算の十分な確保と事業継続を求めている。
そのほかバイオマス対策として、家畜ふん尿を利用したエネルギーなどの活用の仕組みや、環境保全にも留意した地域ぐるみの処理対策など新たな畜産環境対策の確立も求めている。
また、耕畜連携対策の強化と継続、万全な家畜防疫措置の確立、BSEや鳥インフルエンザの感染原因の究明と再発防止策の徹底なども要請している。
とくにBSE対策ではせき注処理コスト対策の確保を重視。牛のせき柱処理の規制にともなう新たなコストについては、食の安全確保のためのコストであることから「適正なコスト負担の仕組みと必要な支援対策」を求めている。
そのほか、食肉処理規制が強まるなか食肉センターが厳しい経営にあることから、施設整備対策や経営体質強化対策などの充実、強化、肉骨粉対策の確保も要請している。
◎畜産経営安定対策 継続を要請
経営安定対策では、肉用子牛の保証基準価格と合理化目標価格は、品種ごとの経営と生産の実態をふまえ、現行を基本に決定することを求めているほか、肉用牛経営安定対策と地域肉豚生産安定基金造成事業の継続も要請している。
酪農対策では、加工原料乳生産者補給金単価と限度数量の決定が課題。
補給金単価は現行を基本とすることを求め、限度数量は飲用乳や乳製品の需要動向をふまえて決定することを求めている。
さらに酪農対策では、脱脂粉乳の需給緩和と在庫増加が生じていることから、消費拡大対策や生乳の需給安定対策を講じることも課題としている。
JAグループでは、今後、これらの要請が実現されるよう畜産酪農対策運動に取り組み、3月11日には東京(憲政記念館)で全国代表者集会を開く。
(2004.3.2)