農業協同組合新聞 JACOM
   

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農業体験で変化した食生活
――2003年度「JA全農クラブ」会員食生活診断結果 (3/4)

 JA全農は、都市生活者の親子を対象に、野菜の植え付け・収穫などの農作業や生産者との交流を通じて、食や農業の大切さを考えてもらう農業体験ツアー「JA全農クラブ」を毎年開催している。
 5回目となる2003年度は、首都圏の親子約100名が参加して、JAやさと「ゆめファームやさと」(茨城県)で5月11日、8月3日、10月19日の3回実施され、キュウリ・小松菜・ニンジンの収穫、トウモロコシ・カボチャ・サツマイモ・サトイモの植え付け・収穫を体験した。
 今回は初めての試みとして、武見ゆかり女子栄養大学助教授の指導・監修のもとに、農業体験がどのように日常の食生活に影響を与えるかを検証する「食事診断」を実施した。対象者は今回農業体験をしたJA全農クラブ会員28家族と会員以外の34家族で、体験前と体験後の2回のデータを比較した。
 これによると、体験参加者は、体験前よりも緑黄野菜・淡色野菜の摂取量が増えているが、体験未参加者ではほとんど変化がなく、体験参加者の日常的な野菜の食べ方に変化が起きていることが分かった。しかし、両者とも体験前から体験後に、エネルギー摂取量が減少し、子どもたちの成長に欠かせないカルシウムの摂取量も減っており「食事全体のバランスについて、もう少し考えていく必要がありそう」だと武見助教授。
 とはいえ、農業体験することで食への興味を持つキッカケをつくれたことは確かで、野菜では具体的な行動の変化に結びついており「生産現場での生きた食育が、食卓に与えたインパクトであると考えられる」(武見助教授)。

◆JA職員・生産者との交流が有意義

 農業体験ツアー直後に参加した保護者に、1年間の農業体験で「有意義な体験」だったと感じたこと、家族で食卓を囲む回数についてもアンケートを実施。
 「有意義な体験」(複数回答)として、1位「野菜の収穫」89.2%、3位「野菜の植え付け」64.9%があげられたのは当然といえるが、2位に「JAからのお話やJA職員・生産者との交流」が73%あったことは注目される。
 家族で食卓を囲む回数も「週に2、3日」以上という家族が、第1回ツアー直後の54%から第3回直後の68%に増え、農業体験が家族全員の食への関心を高めており、農業体験の積み重ねによって「食育」がすすむことを示唆している (2004.3.4)



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