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石油事業とAコープの競争力強化へ
全農が拠点再編などの加速打ち出す (3/10)

JAーSSとAコープ店舗の競争力強化を審議するJA全農の生活事業委員会(3月10日、JAビル)

JAーSSとAコープ店舗の競争力強化を審議するJA全農の生活事業委員会(3月10日、JAビル)

 JAグループの経済事業改革指針が重点に挙げている「AコープとJA−SS(給油所)の競争力強化」に向け、JA全農は3月10日、施設の統廃合や県ごとの経営一体化などを加速する対策を打ち出した。これまでも各JAの計画をもとに経営改善に取り組んできたが、今後は県域ごとのマスタープランで収支確立を推進する。全国21JAの組合長や役員からなる生活事業委員会(全農経営管理委員会会長の諮問機関)で新しい方針を決めた。

◆7割の給油所を黒字に

 方針は「SS」と「Aコープ」の2つ。うちSSの収支確立対策は、平成16年度末までに全国のSSの60%を黒字化し、翌17年度末には70%に引き上げる目標を掲げた。SS数は約4600カ所。うち今年3月末の黒字見込みが53%に過ぎない現状を打開する。
 取り組みでは、経済事業改革指針の財務目標達成を基本に、これまでの戦略を見直し、県域のマスタープランを策定する。
 考え方は▽収支実績でキャッシュフローが赤字のSSは廃止を含めた統廃合を検討する▽移設や新規出店の検討はセルフSSの設置を基本とする▽販売と運営でJAエリアの中核となる基幹SS以外は「廃止を基本」とする、など。
 しかし廃止すると組合員が非常に困るようなSSは徹底したローコスト化などを前提に収支均衡が可能な小売価格の設定や営業日・時間の短縮など抜本的な運営の変更を計画する。
 また全農・経済連はスーパーバイザー(SV)を基幹SS数カ所に1人ずつ選任配置し、価格設定や販促、運営改善などを指導。SSの事業計画策定や進捗管理などにもあたらせる。
 一方、全農・経済連はJAの依頼があればSSの運営を受託し、子会社が運営する。条件には、セルフ型への全面改造や移設に合意することなどがある。
 Aコープ店舗の経営改善については「全国Aコープチェーン3カ年計画」(16〜18年度)を決めた。従来は同チェーン本部委員会で決めていたが、今回は経済事業改革指針と連動する内容であるため生活事業委員会で審議して決定した。
 先に実施した同チェーン店舗の総点検では1414店のうち店舗経営の「継続可能」が1093。あとは「継続困難」「判断保留」だが、現行3カ年計画の実行では、これら店舗を中心に再編を促進してきた。判断保留の店舗も大半が赤字と推測されるからだ。

◆Aコープ店舗一体化へ

 Aコープ店舗はJA単独の経営や、県域でいくつかのJA店舗が参加した一体化会社による経営など形態はさまざまだが、純損益段階での収支均衡からみるとJA経営の店舗はほとんどが赤字と想定される。
 このため新年度からの3カ年計画は、改善方向の基本を「一体化への参加」とした。県域一体化はもちろん、それを越えた広域一体化会社の設立も目指す。現行計画でも広域化を「チェーンの最終形態」として取り組み、関東地区では第1号の設立が実現した。
 また県域一体化といっても現状は、経営の受委託と運営の一体化があるため今後は、それらを経営の一体化へとまとめていく。
 しかし都道府県ごとの経過や実情が異なるため当面は、それぞれ独自の一体化を進めるところがあり、店舗経営だけでなく組織購買事業をひっくるめた県域生活総合会社を設立する方向なども出ている。
 さらに次期3カ年計画は商品力強化に向け、国産原料使用などのエーコープマーク品開発を積極化するとともに、低回転商品の廃止など進めるとしている。
 JA店舗の特色を発揮する方針では▽売場面積150坪以上の店舗には生産者コーナーを設置する▽すでに設置している店舗では、生産者組織と協議して商品力を高めるなど地産地消の強化を挙げた。

◆課題は明確だが……

 JA−SSの立地は商圏の小さい農村や山間部が多い。それにしても、1SS当たりの月間ガソリン販売量が業界平均の6割水準というのは低い。ハンディのせいばかりとはいえない。
 平均営業日数が商系に比べ年間13日少なく、とくに日曜休業のSSが46%と多い上に、1日平均営業時間も11.5時間と商系より2時間弱短い、といった数字が出ている。また商系業者に比べてセルフ化を含めたSSの集約や大型化が遅れているともいう。
 こうみてくると競争力強化の課題はかなり明確に提起されており、今後の収支確立に向けた取り組みが期待される。業績を挙げているJAの取り組みに学ぶといった手法も大切だ。
 Aコープ店舗の県域一体化は24県が実施。うち18県が経営を一体化している。残りの県のうち6県は実施を協議しているが、あとは一体化の見通しが立っていない。理由は“収益が上がっているため手放せない”JAがある反面“不採算でも組合員サービスのため存続する”など幅広い。
 Aコープチェーン全国本部の店舗総点検では「継続困難」と「判断保留」が321店舗あったが、うち160店舗が対策を実施し、80店舗が閉鎖した。あとは業態転換や移転改築など。転換では直売所、100円ショップ、仕出しセンターなどへの変身がある。 (2004.3.15)



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