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浅田農産を告発 農水省と京都府
−家畜伝染病予防法の届け出義務違反容疑で (3/31)

 農水省と京都府は3月31日朝、(有)浅田農産と同社の浅田秀明社長を京都府県警に告発した。
 容疑は家畜伝染病予防法違反。同法の第13条第1項では、飼養している家畜が同法で定める家畜伝染病の患畜、または疑似患畜になったことを発見したときは、診断した獣医師、あるいは家畜の所有者に都道府県知事への届け出を義務づけている。

◆疑う状況にあったと判断

 農水省と京都府は、今回のケースは、家畜の所有者である浅田農産が、鳥インフルエンザにかかっているのではないかと疑いを持つ、すなわち疑似患畜がいるとの認識をもったはずと判断し13条第1項を根拠に告発に踏みきった。
 この判断の理由について、(1)1月に山口県で鳥インフルエンザが発生し、アジア全域にまん延していたこと、(2)第1例めの発生以降、農水省は関係者に鳥インフルエンザ感染への注意を喚起し、疑いが否定できない場合、届け出するよう通知していたこと、(3)浅田農産船井農場では、死亡鶏が急増していたことを指摘。「こうした状況から見て鳥インフルエンザ感染ではないかと認識していたはずだ」という。
 また、大分県で発生した2例めでは死亡鶏が1羽の段階で相談があったことや、全国で家畜保健衛生所などの担当者が巡回指導していたことも挙げた。
 浅田社長は「腸炎だと思っていた」と主張していることについて、農水省は専門家の見解として「腸炎は死亡鶏を解剖した結果の病理学的所見であって、病名ではないという。鳥インフルエンザを疑う認識を持っていたことを否定する論拠にはならない」と説明している。

◆相談すれば違反ではない

 家畜伝染病予防法13条の違反を問うのは初めてのケースだという。
 同法で規定されている「疑似患畜」とは、BSEのケースのように患畜が発見された後、患畜との生年や飼料給与状況など一定の条件で規定されるものではなく、所有者が伝染病発生の疑いを持つこと、を意味するとの解釈だといえる。
 かりに鳥インフルエンザなど家畜伝染病について症状などを熟知していなくても、疑似患畜の発生を届け出なければ違反に問えるという。ただ、家畜の様子がおかしいと関係機関に相談さえすれば違反に問われることはないと説明する。
 疑似患畜の解釈が今後の焦点になりそうだ。

●家畜伝染病予防法
(患畜等の届出義務)
第13条 家畜が患畜又は疑似患畜となったことを発見したときは、当該家畜を診断し、又はその死体を検案した獣医師(獣医師による診断又は検案を受けていない家畜又はその死体についてはその所有者)は、農林水産省令で定める手続に従い、遅滞なく、当該家畜又はその死体の所在地を管轄する都道府県知事にその旨を届け出なければならない。
(2004.3.31)


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