JAの経済事業改革指針は、平成14年度決算をもとに89JAを個別指導の対象として経営改善を図ったが、その後、15年度以降のJA合併や事業譲渡などで対象JAは73に減った。
しかし各都府県改革本部の取り組みには格差があるため、4月21日に開いたJA全中の経済事業改革中央本部委員会は、遅れている県域を重点的に支援し、中央本部が直接、JAに対する個別指導に参画するなど、県域と一体で改革の実践体制を整える促進方策を出した。
遅れている原因としては▽県域としての基本的な指導方針が不明確▽個別指導のノウハウが未確立▽専任担当者がいない▽県中央会と全農県本部(経済連)の連携不足、などを挙げた。
また指針は全JAの改革実践を基本としているが、その体制を整えている都府県のJAは約4割の299となっている。中央本部はあと約6割のJAについても体制を整備するよう県域改革本部を通じて徹底を図っている。北海道は既存の構想による戦略を展開中なので集計外とした。
物流、農機、SS(給油所)、Aコープの4事業を「拠点型」事業と呼ぶが、これらの改革については、17年度達成に向け、県域改革本部がマスタープランをつくることになっており、農機では約62%の県域が策定済みだ。あと3事業も50%以上となっている。
◆JAへの提案書も作成
しかしプランの内容については、不備なケースもあるため追加や修正を県域と協議する。策定中や未策定の県域は策定促進を図る。
プランの実践には今後▽JA単位の詳細な調査や改革提案▽JA内の合意形成などが必要となるので中央本部は、県域改革本部との連携をさらに強める。
重点支援県域については、個別指導の体制とノウハウをまだ確立していないと思われる10県域程度に担当者を2人ずつ配置。JAの個別指導に参画し、またJA合併の促進なども図る。こうした取り組みの立ち上げは5月の連休明けを予定。
個別指導の対象領域は、物流を主な切り口とする拠点事業の改革と、支店などの店舗統廃合だ。そうした領域でJA改革を実践する提案書の作成ノウハウ研修会も開く。対象は県域の個別指導対象者。また全国的な合同研修会も開く。
4月初旬に研修会を開いた県では、県中央会と全農県本部の職員計約40人がノウハウを共有化し、役割分担を明確にした結果、単なる研修会にとどまらず、連携強化の観点からもきわめて有意義だったという。 (2004.4.26)