昨秋のJA全国大会が掲げた「JA改革」の進み具合をつかむため、JA全中は今年から年1回の組合員アンケートを3年間続ける。その第1回調査結果の速報がまとまり、4月21日発表した。それによると生産資材価格は「ほとんど変わらない」という回答が75%を占めたが、「特定品目は値下がりした」が20%、「全体的に値下がりした」が5%あり、全体的には値下がり傾向にあるとの評価となった。
調査は全青協と女性協の協力で2〜3月に行われ、回答数は1769通。うち女性が3分の2。これは女性部の調査対象者が多く、回答率も高いため。また女性では高齢層からの回答が多く、男性では若年層が多かった。男女合計では各世代のバランスのとれた回答率となった。
◆「封建的」との意見も
自由記入欄の意見は▽営農指導にもっと力を入れるべき▽JA職員の対応が悪い▽生産資材価格が高い▽合併で店舗が減り、不便になった▽直販に力を入れるべき、などが男女共通。
青年部集計の意見では▽JAの生き残り経営となっている。誰のためのJAか考え直してほしい▽JA経営は封建的だ。組合員の意見が反映されず、理事は数合わせ、年寄りが多い▽情報が届かない、など。
女性部では▽JA経営は男中心だ。女性理事を増やすべき▽Aコープ店舗、ガソリンスタンド、ATMの時間延長と土日営業▽直売所はやりがいがあり、女性に役立っている、などという意見が目立った。
男女合計のアンケート回答では、JAからの生産資材購入量が「ほとんど変わらない」が66%だが、「増えた」と「減った」がどちらも17%となった。
◆生産資材は物流に問題
生産資材への希望は「価格を安く」が78%と圧倒的だが、「営農との連携」も47%と高い。また「土日営業」が29%、「使い方の説明」が26%と3割近い。
生産資材の配達では「遅い・指定日に届かない」が11%と高く、あとは「配送員の対応が悪い」「品物の置き方が悪い」「伝票の間違い」「品物の間違い」がいずれも6%ずつとなり、「その他」13%を含めると全体として物流に問題のあることがうかがえる。
営農事業では「ファーマーズマーケット・農産物直売所への出荷」が「増えた、向上した」と「少し増えた、向上した」の合計が33%と高い評価を得た。「販売事業への取り組み」も増加傾向にある。
「営農指導員の訪問回数と指導時間」は「増えた」よりも「減った」の回答が多く、各JAの取り組みに格差があるとみられる。
いずれにしても「変わっていない」という回答が過半数となっている。
◆赤字ならやむを得ず
支店・支所の統廃合では「赤字ならやむを得ない」が47%、これに「基本的に賛成」を加えると61.5%となった。
「赤字ならばやむを得ない」という回答率を拠点事業の集約・廃止について見ると、給油所では52.3%(基本的に賛成を加えると64%弱)、Aコープ店舗では51%弱(同62%強)、農機センターでは45%強(同56%強)となった。
全国的に店舗の集約・廃止への抵抗感が薄れてきていることがうかがえる。
JAの事業のうち「ほとんど不要」なものとしては「生活物資の組織購買(家電、服飾など)」と「職員の推進による生活物資の購買」がヤリ玉にあがり、さらに「まったく不要」な事業としては「結婚式場」が最高で、いずれも回答率は約4割にのぼった。
◆記帳運動は積極的に
JA全国大会決議の最重点では、「生産履歴記帳運動」と「トレーサビリティの構築」に全国のJAが積極的に取り組んでいるという調査結果になった。
また「組合長・常勤役員のJA改革への取り組み」については「多少は取り組んでいる」が35%弱で「積極的に取り組んでいる」を合わせると55%となった。
全般的に「わからない」の回答が2割前後あり、JA大会の最重点事項が組合員には十分に浸透していないことがうかがえる。 (2004.4.26)