JA全中とJA地域特産加工・直売所全国連絡協議会が実施したファーマーズ・マーケットの実態調査結果がこのほど公表された。
集計されたのは343JA733か所のファーマーズ・マーケットの13年度の実績。この集計結果によるとファーマーズ・マーケットに毎日出荷する生産者は全国で3万1000人、利用者は平日で17万人、休日では23万人となった。
◆営業日300日以上が8割
集計対象733か所のファーマーズ・マーケットの立地環境は、31.8%が市街地ともっとも多く、農村地域(24.8%)、郊外部(21.7%)と続いている。売り場面積は500平方メートル以上が3.4%、100平方メートル未満が39.8%ともっとも多かった。回答のあった571か所の平均は150平方メートル。
「開設者」はJAが72.8%とほとんどを占めるが、「運営者」ではJA女性組織や農家グループの比率も高いことが分かった。また、店舗の職員数は平均5.5人で、JAの担当部署は営農・販売部門が53.1%を占め、生活部門が17.6%、その他が15.1%だった。ファーマーズ・マーケットには、年間を通じた少量多品目生産による品揃えと農産物の安全・安心対策が求められることから営農・販売系の部署が担当しているJAが多い。
また、営業日数は300日以上が70.7%。営業時間も8時間以上が約8割だった。
◆安全・安心対策も課題
登録出荷者は697か所の合計で12万9000人、平均すると186人となった(14年末)。このうち、1日平均の出荷者数は回答のあった625か所の合計で3万1000人となった。出荷登録者のうち約27%になる。
登録出荷者に対する営農指導は8割が実施し、もっとも多いのは生産者を集めての研修会。営農指導で力を入れているのは品揃えの基本となる「少量多品目栽培」と「周年栽培」。そのほか、安全・安心のニーズに応えるため「低農薬低化学肥料栽培」、「栽培履歴の記録」なども多い。
13年度の販売高は回答のあった658か所の合計で627億5100万円。このうち生産者の出荷品は358億円だった。そのほかはJA内の共販からの仕入れ品、提携JAからの産直品、加工食品の販売がある。
販売高は5000万円未満のファーマーズ・マーケットが46%を占めた。販売高が10億円以上となったのは「元気の郷はなまる市」(愛知・JAあいち知多)、「めっけもん広場」(和歌山・JA紀の里)、「JA花園農産物直売所」(埼玉・JA花園)、「幸田町憩の農園」(愛知・JAあいち三河)だった。
◆地産地消の拠点として
利用客数は回答のあった667か所の合計で年間6345万人だった。1日平均では平日で17万2000人、土日祝日で23万3000人という結果になっている。
利用客の居住地は「地元」の割合が「8割〜10割」と回答したところが47.5%を占めており、ファーマーズ・マーケットの多くが地元の消費者に密着した運営がなされていることが明らかとなった。JA全中では「観光地的な運営ではなく、地産地消を進める姿勢が支持されている」としている。
なお、手数料率は10%〜15%がもっとも多く、平均で12.2%だった。
JA全中の調べでは、全国の農産物直売所は約1900か所。今回の調査ではJAがまったく関与していないものや、Aコープ店内や量販店内の産直コーナー、テントなど仮設的な運営のものは除いた。
(2004.4.27)