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農地法改正で検討方向示す−農水省 (5/18)

 農水省は5月18日の食料・農業・農村政策審議会企画部会に、農地の効率的な利用を図るため権利移動規制の検討方向を示した。
 同省は基本的方向について、
 (1)権利移動規制を廃止。一方で耕作しない者の参入による弊害防止のため強権的な利用確保措置を導入。
 (2)農業生産法人要件を含めて「真に農地が利用される」という観点での見直し。同時に耕作放棄防止のため利用確保措置を強化。
 (3)現行規制を維持。耕作放棄防止のため利用確保措置を強化。
 の3パターンを示した。
 このうち(1)は規制を完全になくし、一方で農地利用を強権的な制度で担保しようという方向。ただし、耕作放棄には罰則、耕作命令を出す、転用は認めないといった強権的措置が可能かどうか。さらにそうした措置が実行されるかどうかといったことが論点になると同省も指摘する。
 (3)は現行規制を維持し、耕作放棄の防止策は農地法改正など以外の方法で確保するということになる。
 ただし、この案について農水省は耕作放棄地が増加している現状や担い手不足が深刻化していることから、基本的に見直しは不要とできるのかと指摘している。(2)は(1)と(3)の中間的な規制緩和案となる。

■現行制度の検証が必要

 この日の企画部会では、農地の権利取得については「事前規制も事後規制も堅持を」など慎重な検討を求める声が出た。
 また、現行の農業経営基盤強化促進法では、農業委員会の指導を受けてもなお耕作しない遊休農地の所有者に利用計画の提出を義務づけており、改善が見られなければ勧告や買い入れ協議を行うことになっている。
 農振法にも特定利用権制度があり、遊休農地について市町村や農協が住民や組合員の共同利用のために農地の利用権を取得できることになっている。
 ただし、いずれもこれまでに活用実績はない。こうしたことから「現行制度がこれまでなぜ実効性がなかったかまずしっかり検証すべき」とJA全中の山田専務は指摘した。
 また、山田専務は、農地制度の見直しについて「農地を農地として利用する」制度が重要だと強調。担い手が不足している現状では、農地の所有は維持しながらも、利用の集積をはかり団地的な農地利用を考えることが基本などと主張した。 (2004.5.21)



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