6月2日からジュネーブで始まったWTO農業委員会特別会合で日本、スイス、ノルウェー、韓国など10か国グループ(G10)は、会合初日の全体会合で共同ペーパーを提出した。
同ペーパーは、先に日本政府として決めた方針とほぼ同じ内容で、市場アクセスでは、「センシティビティへの適切な」配慮を条件に、さまざな関税削減方式については議論する用意があると表明している。
一方、農業の多面的機能など非貿易的関心事項に適切に配慮するには、柔軟性確保が不可欠だとし、「上限関税の設定」や「関税割当の一律拡大の義務づけ」は、反対と主張している。
また、各国それぞれの重要品目については、どのような関税削減方式になっても「最低限の関税削減のみが課されるべき」とした。
■途上国に配慮
国内支持では、貿易を歪曲する措置の大幅な削減と、とくに輸出補助金と同等の効果を持つ「黄」の政策の大幅削減を主張。「緑」の政策の現行規律維持と、「青」の政策では枠組みの維持を主張しているが、基準については議論する用意があると表明している。
輸出補助金は、「すべての形態の輸出補助金を段階的に撤廃していくべき」と主張し、輸出信用や食料援助、輸出国家貿易についても同等に扱う「フル・パラレリズム」が必要だとした。これは食料援助などについても輸出補助金的な性格のある部分は撤廃すべきとの考え。このため、輸出補助金的な部分をどう仕分けするかの議論を早急に行うべきとも主張している。
日本政府方針では、途上国に対する特恵マージン(特別な低関税措置)の確保が重要だとしているが、共同ペーパーでも特恵マージンへの配慮のほか、特別品目、特別セーフガードの導入や、関税などの削減率や実施期間などを差別化するなど、配慮が重要だと主張している。特別会合は4日まで開催されている。 (2004.6.4)