◆全中と19県の中央会も参加
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3日間集中力を切らすことなく熱心に講義を聞く参加者 |
「組合員の負託に応える経済事業改革」はJAグループにとって焦眉の課題だ。そのため「改善効果の大きい物流改革を主たる切り口とし、拠点事業の改善を最優先に取り組む」ことを経済事業改革本部は方針として打ち出している。
JA全農ではかねてより、多様化する組合員ニーズに対応した「組合員本位のJA改革」を実現するために「物流を切り口とした三位一体(物流合理化・営農経済渉外員制度の確立・生産資材店舗の整備)の改革」を提案している。すでに多くの県域・JAで取り組まれてきているが、これをさらに推進するために、6月23〜25日の3日間に「農家配送拠点整備講習会」を茨城県水戸市で開催。北海道から沖縄まで39都道府県から、15JA・1県農協・5経済連・27全農県本部・19県中央会・JA全中・運送関連会社そして全農関係者ら125名が参加した。
◆過密なスケジュールにも集中力を切らさず
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現場に出ての講習も(JA水戸酒門営農センターで) |
この講習会のねらいは、
▽JAおよび県域でのマスタープランの実践に必要となる物流改革の進め方と物流実態調査を中心とする具体的な手法を習得する
▽JAマスタープラン(標準版)にもとづく三位一体型の総合改革提案手法を習得する、ことにある。
そのために、物流改革の基本的な考え方、JAグループ茨城における取組みから、具体的なマスタープランの策定、県域物流制度、営農渉外員制度、生産資材店舗の整備についての考え方や具体的な手法について9つの講義と先進事例であるJA水戸における経済事業改革の報告がされた。
また2日目の午後には、JA水戸酒門営農資材センターやエーコープライン大洗倉庫、全農茨城県本部のポケットファームどきどきでの実践研修と大型ホームセンターの視察も行うなど、過密なスケジュールが組まれたが、参加者は「集中力を切らすことなく全員が熱心に講義に集中」(道岡淳・JA全農事業改革・システム推進部物流改革推進グループリーダー)していた。
◆経営実態を分析し改革を
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質疑応答にも熱がこもる |
事例報告をした綿引長夫JA水戸常務理事は、県域物流への移管によって、配送コスト削減、在庫の圧縮が実現、営農渉外員の設置などの改革で、組合員に対しては「JAの窓口を組合員の庭先へ」を実現し組合員サービスが向上、大口割引の実施、手数料引き下げによる価格低減、定期的な価格調査と迅速な価格変更などを行い「組合員からJAは高い、というクレームはほとんどない」。しかし「JAとしては、これらの取組みをメインにすえたわけではなく、JA全体の経営改革の一部分として位置づけた。レコード盤に例えればA面というよりもB面という感が強い」と、経営実態を的確に分析したうえで改革することの重要性を語った。
講習会の閉講式で道岡リーダーは、営農渉外員制度については肥料農薬部広域企画課鷲尾課長らが、生産資材店舗については営農総合対策部生産資材店舗対策課福島課長が担当するなど、全農3部門が「三位一体」となって「心を合わせて先頭に立ってこれからも力を入れていく。この“三位一体の改革”に全国の農協が挑戦され、われわれ連合会がシッカリそれを支えていく取組み」をさらに進めていきたいと語った。 (2004.6.28)