JAグループは役職員の任意加入による「基金型企業年金」制度を17年度から導入する方向で検討を進めている。以前の農林年金には3階建てといわれる職域年金部分があったが、厚生年金との統合で14年度からなくなった。このため昨秋のJA全国大会決議は「新たな企業年金制度の構築」を打ち出し、退職金と年金制度の統一的なサービス体制などを検討してきた。
各JAは役職員に支払う退職金の原資を、たいていは(社)全国農協役職員共済会や府県共済会に外部積み立てし、また関連会社などはJA共済連や農林中金などに運用を委託している。
新たな企業年金基金は、こうした積み立て原資の確実な保全と効率的な活用を基本に、全国的な複数団体が協同して運営する形を有力な選択肢として検討中。
JAグループは、農林年金と厚生年金の統合以前に全国連トップらからなる農林年金制度対策本部を設け、その下の研究会などで職域年金をどうするか検討した結果、新たな負担をともなう厚生年金基金の方式では基金創設は困難とし、現行の原資をベースとする方向で検討を重ねている。
その背景には、新たな企業年金制度が法制化されたことがあり、▽確定拠出年金▽確定給付企業年金▽ハイブリット型年金、と選択肢が増えたので、その活用を図ることにした。
すでに確定拠出年金(企業型)はJA共済連と農林中金などが、また確定給付企業年金の規約型はJA共済連が取り扱っている。
新しい基金型企業年金はこうしたJAグループの退職金・年金制度をひっくるめた形で検討されている。
なお、確定拠出年金制度(日本版401Kプラン)の創設や、新しい確定給付企業年金法の制定にともない、現在、多くの企業・団体が退職金積み立ての受け皿となる企業年金の制度改革を進めている。 (2004.7.15)
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