|
総合審議会の新井議長(左)に諮問するJA全中の宮田会長=8月4日、東京・JAビル
|
JA改革が進むなか、中央会賦課金の圧縮と要員削減によって県中央会本来の機能発揮が難しい県もあり、中央会の機能や組織を見直す必要があるとして、JA全中の宮田勇会長は8月4日、諮問機関である総合審議会に、県中と全中の一体的運営を強化する方策などの検討を諮問した。
諮問事項は(1)県中と連合組織の一体的運営強化(2)賦課基準の考え方やJA負担のあり方(3)青年・女性組織代表の登用のあり方など細目で8項目。
審議会委員はJAや各中央会の代表ら29人。同日の初会合で議長にJA共済連の新井昌一会長を選んだ。今後は専門委員会で検討。10月下旬までに中間とりまとめをし、来年3月に答申の予定。
一体的運営については、すでに県中と全中の事業統合で一昨年、JA全国監査機構を設立し、統一基準で監査を実施している。
また教育研修では常勤理事研修と資格認証試験を共同で実施し、JAに対する個別経営指導にも共同で取り組んでいる。さらにJA高齢者福祉ネットワーク組織をつくり、県中と全中の指導機能を補完している。ほかに協議会方式の充実などによる資産管理事業と地域特産加工・直売所事業の展開もある。審議会では、こうした連携と事業統合の進展に向け、中央会の機能や組織を見直す。
一方、中央会の事業と関連が高く、全国連が設立母体となっている研究機関の事業と組織のあり方も見直す。とくに(社)農協労働問題研究所、(財)協同組合経営研究所、(社)地域社会計画センターなどについてJAグループのシンクタンク機能を強化する観点から再編を検討する。
青年・女性組織代表の役員登用については、すでに全中が作物別・課題別委員会の委員とし、一昨年からは理事会のオブザーバーとして代表の出席を認めているが、来年の役員改選期には登用をどうするか、今後のあり方を検討する。
総合審議会は昭和38年の第1回以来、平成13年9月まで通算64回開き、農協合併の方針などを審議し、答申してきた。今回は3年ぶりの開催となる。
◆賦課金負担のあり方も検討
JA全中の総合審議会は都道府県中央会賦課金のあり方を検討する。審議会に提出された資料によると、賦課金の圧縮と要員削減の計画を策定している中央会の中には、会員であるJAと連合会の収支悪化から、計画の見直しを余儀なくされているところが出てきて、県間格差の拡大が懸念されるとしている。
15年度の一般賦課金総額は298億円。これは組織整備の基準年度である7年度を100とすると90.2%に圧縮されている。
また、JAの事業管理費(14年度)に占めるJAの一般賦課金割合は全国平均で0.73%。
単位JAに対する県中の一般賦課金は農家戸数割、事業割などの基準で算定されているが、事業割が6割程度と比率が高いため、経済的な負担能力の高いJAほど賦課金額が大きい。
このため広域合併で狙った事業管理費の低減効果が十分得られず、これを一因とする不満が賦課金の圧縮圧力ともなっている。
一般賦課金の負担割合はJAが48.4%、連合会が51.6%(15年度)だが、JAの5割以上負担も21都府県ある。過去の答申では「JA中心の負担」方向が出ているため、今回の審議会でも同じ方向づけが課題となっている。
一方、都道府県中央会の正規職員は昭和63年の4487人をピークに15年度は2483人に減少した。新規採用による充足率も35.4%と低いため平均年齢は40歳代後半となっている。
(2004.8.6) |