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鳥インフルエンザ「防疫指針」に生産者団体が猛反発
農水省が意見・情報を募集 (8/19)


 農水省は「高病原性鳥インフルエンザに関する特定家畜伝染病防疫指針案」についての意見・情報を募集すると8月19日に発表した。
 この「防疫指針」は、家畜伝染病予防法(家伝法)にもとづいて、食料・農業・農村政策審議会消費・安全分科会家畜衛生部会と同家きん疾病小委員会で調査・審議され、このほどまとめれたもの。

◆ワクチンの予防的使用は認めず

 内容は、現行「防疫マニュアル」にこの間の経験を踏まえ改善をしたものとなっているが、日本鶏卵生産者協会(梅原宏保会長)など生産者が強く求めているワクチン使用については、「重症化の抑制には効果があるものの、感染を完全に防御することはできないとされており、無計画・無秩序なワクチン使用は、本病の発生又は流行を見逃すおそれを生ずることに加え、清浄性確認のための抗体検査の際に支障を来し、清浄化を達成するまでに長時間かつ多大な経済的負担や混乱を招くおそれがある」とし「本病の防疫では、早期発見と感染家きんの迅速な殺処分により短時間のうちにまん延を防止することが最も効果的な防疫方法である」「万が一、同一の移動制限区域内の複数の農場で本病が続発し、発生農場の飼養家きんの迅速なとう汰が困難となり又困難になると判断される場合には、ワクチンの使用を検討することとなる」が、農水省と協議して「計画的な接種を行なうことが必要」と従来通りの内容となっている。

◆鶏卵生産者団体が再検討を要望

 これに対して、日本鶏卵生産者協会は、8月12日に亀井農水大臣に以下のような「防疫指針の再検討についてのお願い」を提出した。
 1.この問題にもっとも関係があり、現状をもっとも認識している養鶏業界代表の意見はまったく無視され、業界の実情や世界の鳥インフルエンザ防疫対策の最新動向に理解を示さず、しかも科学的な根拠データが不明確な意見に基づき防疫指針が決定されたことに「強い憤りを感じる」。
 2.ワクチンの予防的使用を認めないこの防疫指針では、今後再発が予測される鳥インフルエンザの大発生を防げず、その結果、養鶏業界に壊滅的な打撃を与え、食の安全や国民の健康に関する社会パニックを引き起こす可能性が極めて高いことを懸念する。
 3.海外の実務経験がある学者を含めた「世界的な視野にたって対策を考えられる疫学専門家を中心に」、養鶏生産者・団体、行政、消費者団体など幅広い関係者による検討会によって防疫指針を再検討し「どの分野から見ても納得のいく科学的事実関係に基づいた防疫指針を改めて作成することを要望する」。

◆9月17日まで意見を募集

 農水省は、9月17日まで「広く国民等から意見・情報を募集」し、9月末から10月初旬までには「防疫指針」を決定し公表する予定にしている。
 半径数十キロの範囲内に500万〜1000万羽以上の鶏が飼育されている養鶏密集地帯が全国に10カ所以上あるといわれている。この密集地帯で鳥インフルエンザが発生した場合には、今年起きた4回の発生とは比べようのない事態になることが予想される。そうした事態を起こさないためには、生産者も消費者も納得できる「防疫指針」をつくり、いまから、あらゆる防疫措置を秩序だって実施していくことが必要だといえる。 (2004.8.23)



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