農業協同組合新聞 JACOM
   
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農事組合法人設立で“疑惑の勧誘”発覚
農水省が注意呼びかけ (8/20)


 農事組合法人の事業は農業関連に限定され、社会福祉事業などは認められていないが、これらを定款にうたって、法務局に設立登記をするケースが最近増え、農水省は農業者や関係機関に注意を促している。調べによると、違法行為の疑いがある登記は8月20日現在、全国で約60にのぼるが、調査が進めば、さらに増えると見られる。
 誰が、そんな登記をしたのか、農業者以外の者による公算が大きい。同省への照会によると「農事組合法人をつくって介護事業をやるともうかる。農水省から補助金が出る」などと勧める者(グループ?)の存在が浮かび上がっている。
 これを信じて「相談料数百万円を払って法人を設立した」という建設業者や、「設立手続きの代行手数料として数百万円を請求された」農家の女性もいた。
 しかし手続きは地方農政局や都道府県に書式があり、代行料を払うほど複雑ではなく、登記の登録免許税も無税だ。同省は「詐欺になると思った場合は、警察に相談するように」と助言している。
 問題の定款に記された事業は▽社会福祉▽産業廃棄物の処理▽リサイクル業▽水産業▽コンサルタント▽医薬品の販売▽農薬の製造、販売▽ビル管理▽外国人研修生受け入れなどで、すべて農事組合法人が行うことができない事業だ。
 農協法は、農事組合法人に▽発起人は農民3人以上▽事業は農業関連に限る▽登記のあと都道府県か国に届出をする、などを義務づけ、違反した場合は、業務改善命令、解散命令、50万円以下の過料などの対象になるが、問題の60法人は届出もしていない。
 同省は報告命令を発出したが、期限内に報告がなかったため、弁明書の提出を求めたが、これに対しても8月20日までの期限内に応答がなかった。このため次の段階の措置を検討中。
 農事組合法人は増え続けており、今年3月末現在の届出数で約6600。
 しかし、せっかく設立したのに休眠状態に陥る組織も一部にある。そうした実態も含めて同省の出先機関が点検したところ、今回の事態が発覚した。
 また介護事業やリサイクル、そして規制緩和の経済特区といった国民的関心事を取り込んだ問題だけに今後、社会的に波紋が広がる可能性もある。 (2004.8.26)



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