JAバンク支援協会は、千葉県信連に総額250億円の資本注入することを9月1日の理事会で決めた。JAバンク中央本部委員会も8月下旬に支援を決めている。資本注入は優先出資220億円、劣後ローン30億円で実行する。これを受けて信連は早ければ9月にも増資を実現し、自己資本比率は現在の4.66%(今年3月期)から10%超へと高まる見込み。これにより先に策定した経営改善計画の実行を加速させる。
一方、県内27JAは7つの枠組みで合併するという「JAグループ千葉再構築計画」に合意した。これについてJA千葉中央会などは、JAバンク中央本部に対し「事業・組織改革を進めていくうえでも、また歴史的背景や地域性の観点からも最も納得感のある枠組みである」と説明した。
中央本部や支援協会としても、この再構築計画が県内JAのさらなる経営安定化に役立つものと認め「今後とも再構築実現に向けた取り組みを求めていく」として資本注入を決めた。
中央会は今年2月、県内を2つのJAに統合する合併構想を打ち出したが、一部のJAの反発などもあって、これを見直し、8月下旬までに7JAとする再編計画に修正した。
中央本部は当初から、県信連を含めた県域全体を支援する方針であったため、再構築計画の修正に対する全JAの合意成立にともなって資本注入の実行を決めた。
■来年7月に7JA
県内7JAへの合併は、来年早々から各JAが組合員説明会を開き、ペイオフ全面解禁(来年4月)前の3月に、それぞれの総会で合併を決議し、7月に実現となる段取りだ。
信連としては今年度から長期経営改善計画を実施しており、当初3年間を集中改善期間とし、目標は今年度の当期剰余金を約36億円としている。繰越欠損金を解消して10年後には農林中金との統合を目指す。
今年は早くから信連の不良債権処理などによる当期損失が伝えられたが、県内のJA貯金の伸び率は3月末残高で前年に比べ1.3%となって平常時と変わりはなく、その後も安定した伸びでマイナスイメージの影響は見られない。
これは全国的なJAバンクの健全性に対する信頼度の高さを示すものではないかとされる。安全網(セーフティネット)では、破たんを未然に防ぐJAバンク支援基金(同支援協会が管理)があり、3月末の基金残高は843億円だったが現在は約1200億円に増えている。
(2004.9.2)
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