農水省は8月31日、16年度国営土地改良事業の評価結果を発表した。
土地改良などの国営事業では効率性と透明性を確保するため、平成10年度から5年後ごとに評価することになっている。
今年度、事業採択後から5年が経過した事業として期中評価の対象になったのは25地区。地方農政局などに第三者委員会を設置して評価した結果、すべての事業で継続の必要性が確認されたが5地区で事業計画の変更を行うことが必要とされた。
理由は受益面積の変動や主要工事の変更など。対象地区は雄武中央(北海道)、道前道後平野(愛媛)、筑後川下流(福岡)、曽於南部(鹿児島)(以上、国営かんがい排水事業)、南丹(京都、緑資源機構事業)。
■多面的機能の評価法が課題
また、事業完了からほぼ5年を経過した土地改良事業など22地区の事後評価結果も発表した。
評価結果は、いずれの地区も農業生産基盤が改善され、農業用水の安定的な供給による作物の拡大や経営規模拡大による生産性向上、流通の効率化などの効果が認められ事業の妥当性が評価された。
ただし、第三者委員会では、かんがい排水施設の維持のため都市・農村交流者や住民なども含めた「参加型維持管理」の必要性や、畑地かんがい用水の利用の拡大などの課題も指摘されている。
そのほか、事業によっては、土地改良事業の本来の効果以外に、地域経済の発展や農村での定住化へ寄与、地域農業や集落維持などへの貢献についても、定量的に評価する手法を検討すべきとの意見も出されている。
農水省では農業農村整備部会に小委員会を設けて費用対効果の評価手法を検討してきており今年度も秋以降に検討する予定。事業によって生み出された多面的機能を数値化して評価に繰り入れることなどを検討するという。 (2004.9.2)
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