農林中金は、農林債券のうち売出しの方法で発行するワリノー、リツノー、リツノーワイドの発行を、平成18年3月後半債(同年3月27日発行分)を最後に、それ以降は取り止めると9月3日発表した。それまでに発行される債券は、現在までの債券も含めて所定の満期に償還される。
また財形専用債券と確定拠出年金向け債券、それに法人を対象に募集する債券は引き続き発行する。
顧客の運用ニーズの多様化や、金利低下などから発行残高が大きく減少してきたことと、農協・漁協系統が業務の見直しを広範に進める中で、金庫自身の業務の選択と集中を図って発行中止を決めたという。
個人取引が主体の売出し農林債券による資金調達業務は、農協と漁協の貯金業務と機能が重複しているという点があったため個人・小口分野の調達業務は単協に委ねたことになる。
これまで金庫がリテール分野で育成してきた人材や蓄積したノウハウは今後、単協の活動支援や健全経営維持に活用する方針。
金庫は「こうした取り組みは農協・漁協系統だけでなく、地域社会・国民経済への貢献という点でも望ましいと判断した」としている。
農林債券は昭和25年に市中販売を開始して以来、50余年の歴史を持つが、近年の残高推移は平成7年度末の9兆1987億円をピークに15年度末には5兆2168億円に減少。調達全体に占める割合は8.96%となった。
15年度末残高の内訳は▽リツノー272億円▽リツノーワイド4233億円▽ワリノー6573億円。
取扱い店数は国内支店・事務所など36店舗。販売人員は約300人が金庫職員、約100人が嘱託員で計約400人。 |