農業協同組合新聞 JACOM
   
農政.農協ニュース
米国のBSE対策はずさん
民主党調査団が報告書 (9/6)

 「米国農務省のBSE検査はずさんそのもの。現状では牛肉輸入を再開すべきではない」と民主党の山田正彦『次の内閣』農水総括副大臣は語る。同党は8月27日まで5日間、調査団を派遣した結果、「米国政府は安全確保の方策(全頭検査、特定危険部位の除去、飼料規制の強化)を速やかにとるべきだ」との報告書をまとめた。その中から米国のBSE対策関係者の証言を拾ってみた。
 【農務省の元検査官】以前は牛の歩行状態を1頭ずつ、見た目で検査していたが、その後は10頭ほどをまとめて歩かせるため、おかしな牛が健康牛群に囲まれてしまい、十分な検査ができなくなった。また今も牛の肉骨粉が飼料に使われている。
 【5つの市民団体代表】何らかの症状がある牛は脳を調べるのがルールだが、その前に肉骨粉工場に送ることを農務省が奨励している。牛肉業界の利益を守ることに力が注がれ、食の安全は後回しにされている。
 【生産者団体代表】10月から自主的な全頭検査が実施できるよう3団体連名で農務省に要請している。返事がない場合は訴訟も検討している。
 【ペン農務省次官】勝手に全頭検査をさせれば、間違った安心感を与えるのでよくない。
 【ディヘイブン農務省動植物検査局長】牛の歯による個体識別は可能だ。(山田氏が、歯では月齢管理ができない、と指摘したのに対して)歯では6ヶ月の誤差がある(歯の摩耗度から月齢がわかるという説に立った発言)。個体識別は、業界と考えながら、ゆっくりとやりたい。
 【UPI記者】BSEは動物の病気に過ぎないとして消費者の関心は低い。下院の政府改革委員会の公聴会では「農務省はよくやっている」との評価だ。議員と食肉団体は資金的につながっていると思う。

 ◇   ◇

 調査団は、このほか多くの関係者と意見交換し、各所を視察したが、牛の解体工場1ヵ所では視察を拒否され、「見られると何か不都合なことがあるのではないかといわれても仕方がない」だろうとした。民主党は報告書をもとに議論し、全頭検査か輸入再開かの結論を出す予定。調査団は3氏で構成した。

(2004.9.6)


社団法人 農協協会
 
〒102-0071 東京都千代田区富士見1-7-5 共済ビル Tel. 03-3261-0051 Fax. 03-3261-9778 info@jacom.or.jp
Copyright ( C ) 2000-2004 Nokyokyokai All Rights Reserved. 当サイト上のすべてのコンテンツの無断転載を禁じます。