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“JAS牛肉”普及へ メリットなどを議論 (9/7)

「生産情報公表牛肉」のシンポジウムで発言するパネリストたち=9月7日、東京・銀座のガスホール。
「生産情報公表牛肉」のシンポジウムで発言するパネリストたち=9月7日、東京・銀座のガスホール。

 JASマークつき国産牛肉が出回り始めた。5月上旬にジャスコ店が産直の形で発売。次いで8月下旬には東京都中央卸売市場食肉市場に初上場された。スーパーなどはJAS(日本農林規格)表示による差別化を狙う。農水省はBSE発生や偽装表示事件で失墜した食品表示への信頼を回復するため、生産情報公表JAS規格という制度をつくって、まずは牛肉に導入。生産と流通が規格に適合している牛肉にJASマークをつけることを認めた。

 ◆豚肉にも広げる

 しかし消費者になじみの薄い言葉遣いであり、産地もまだ少なく、認定の仕組みもわかりづらい。このため同省の事業委託で(社)日本農林規格協会は、新制度への理解を広めようと全国4ヵ所でシンポジウムを開催中。東京では9月7日に開いた。
 シンポでは同省消費・安全局表示・規格課の小崎好春課長補佐が、牛肉に次いで生産情報公表豚肉の規格説明会を10月から開き、また農産物向けの規格は12月を目途に検討中であり、鶏卵についてのガイドラインも作成中と明らかにした。
 さらに加工食品ではトマトジュースなど加工度の低いものから規格を考えていきたいと述べた。
 生産情報公表牛肉は、牛に与えた飼料と動物用医薬品まで公表するのが、牛肉トレーサビリティ法とは異なった特徴だ。

 ◆ふさわしい価格を

 一方、第三者機関の認定を受けた生産者がJAS牛肉を出荷しても、加工(部分肉)と小売(精肉)の業者が認定を受けていない場合はJASマークを貼ることができない仕組み。
 シンポでは、有限会社・上旭肉牛牧場(北海道)の萬野修三社長が「認定を取るために生産システムの洗い直しができた。これがメリットだといえる。販売面でのメリットはまだない」などと次のように語った。
 「情報をリレーする仕組みなので、肥育牧場としては、まず子牛繁殖農家から情報をいただく。配合飼料工場内部の情報公開は十分でなかったが、取り組みの中でかなりコミュニケーションがとれた。しかし、なお飼料情報公開への改革を望みたい。と畜場内部の情報も得られた。今後は消費者とのコミュニケーションが課題となる。JAS牛肉の価値にふさわしい価格を望みたい」

 ◆情報弱者のために

 また(財)日本食肉流通センターの小林喜一理事は「情報公表が豚肉から農産物へと次々に広がれば、それを検索するパソコンがスーパーに並び、食料品売場かパソコン売場かわからなくなる。情報は印刷物で見るほうがよい」とし、主婦連合会の和田正江参与も「情報弱者のために店員がJASのことをよく理解し、お客に説明できるようにしてほしい」と望んだ。
 なお東京の食肉市場に初上場されたJAS牛肉は上旭肉牛牧場が生産した。ジャスコへの出荷は同じ北海道の宮下牧場でJA全農とホクレンが協力した。

(2004.9.10)


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