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麦・大豆産地改革へJAグループが運動
品質と生産性の向上を目指す (9/2)

 JAグループは「麦・大豆産地改革」の全国運動を展開する。9月2日のJA全中理事会が今年度から3ヵ年の運動方針を決めた。麦と大豆の生産は水田を中心に増え、食料・農業・農村基本計画の目標を数量では達成しているが、品質と生産性の向上は未達成だ。このため産地ごとに課題を洗い出し、改革計画を作って実践する。また「売れる麦づくり」「売れる大豆づくり」「担い手づくり」の3点を各JAの地域農業振興計画などに位置づける。
 産地改革計画には「上位等級〇〇%以上運動」など目標を具体的に掲げる。また、産地ごとの麦と大豆に対する評価をJAと生産者が的確につかんで、生産基準(栽培暦)を設定し、それを守る仕組みを確立する。
 そのために実需者と定期的に意見交換する場を設けて、それを機能させる。また価格などの市場評価が生産者にわかるように、情報を伝える仕組みも整える。

◆作付誘導へ

 一方、JAの営農指導では、試験研究機関や普及センターなどと連携して適切な作付誘導による計画生産を実施。土づくりや排水対策など基本技術の励行や、刈り取り遅れなどがないように適期作業を徹底する。
 また生産履歴の記帳、ほ場条件の改善などに取り組み、共同乾燥調製施設の適切な管理と運営による均質化や品質管理を徹底する。 担い手づくりでは、共乾施設などを核として担い手を明確化し、集積をはかるとともに、ブロックローテーション・団地化や、生産の組織化などいっそうの生産性向上を進める。
 県域と全国域では、拠点貯蔵施設などを広域的に再編・整備し、物流合理化・コスト削減に取り組む。

◆実需者と連携

 JAは各県JAグループや実需者と連携して産地改革計画を作り、実需者との定期連絡会や普及センターなどとの一体的な推進体制を整え、計画を推進する。
 県域でも産地改革計画を策定し、JAを支援する。
 運動目標は、国産麦・大豆の安定供給による自給率向上をはじめ、地産地消による需要拡大など。
 こうした運動を起こす背景には▽麦の場合、調整品輸入の増加や、WTOによる関税引き下げなど国際化が一層進展する中で、実需者から品質向上を求める声がより強まりそうなこと▽大豆の場合は、昨年の不作で価格が高騰し、輸入品への需要シフトも懸念されること、などがある。
 さらに、農水省が平成19年度からの品目横断的施策(経営安定対策)による担い手への施策集中を検討中であり、麦・大豆生産でも担い手育成が課題となっているため18年度までに運動の結果を出したいとした。

◆情報交換が急務生産者の意識改革も

 農水省は基本計画見直しの中で、麦と大豆の政策を検討し、最近、中間論点整理をした。ともに生産の現状は、製粉企業など実需者のニーズに十分に応えられない状況にあるとした。これらを踏まえてJA全中は産地改革運動を提起した。
 同省の検討資料の中には麦の契約栽培について「は種前契約になっていることを知らない」と答えた生産者が25%強もいるという意識調査結果(15年12月)があり、また「契約形態には関心がない」も約5%あったことが目を引く。
 設問の用語が難しかったのかどうかは別として、この結果は、生産者に情報が十分に行き届いていないことを物語る。また無関心の背景には、代金精算が遅くなるなどの様々な要因も挙げられる。JAが産地改革計画を立案するに当たっては、この辺の実態分析が一つの前提となりそうだ。
 中間論点整理では、麦政策見直しの視点として、担い手の育成や、競争原理の徹底などを挙げ「は種前契約一本の取引ルール見直しが必要」としている。
 政策見直しの最終取りまとめが市場原理の貫徹を加速させるものとなるのかどうか、産地改革運動の中でJA・生産者と実需者の話し合いを促進することが求められる。それによって地域特性に見合った改革計画の内容になることが期待されている。
 大豆については、昨年の不作で価格が高騰したため、同省は天候などに左右されない安定供給のあり方を中心に検討した。
 中間まとめは「担い手への生産の集約が重要課題」として「機械化一貫体系や収穫・乾燥調製の共同化を推進し、担い手への集約で生産安定、生産コスト低減および良品質大豆生産が一層進むよう、大豆交付金制度などの施策を集中化すべきである」などと提起。
 また「は種前契約が面積契約を基本に確実に履行されるよう、売り手と買い手の情報交換を緊密化する手法や、契約締結方法を見直すべき」などとした。
 JAが、こうした多くの意見を踏まえ、各地域の特性に合わせて、どう改革に取り組んでいくか、運動の展開ぶりが注目される。

(2004.9.13)


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