食品安全委員会は9月16日、日本のBSE対策についての意見交換会をJAホールで開催した。
この会は、食品安全委が9日に「中間とりまとめ」を行ったことから開催されたもので、同委プリオン専門調査会の吉川座長(東大教授)がとりまとめ内容を解説したあと、意見交換を行った。
会場からの意見は報告書の記述に対するものが多く、「20か月齢以下は検出限界で検査から除外してもいいとの報告のようだが、20か月齢以下は安全ということなのか」と質問があった。これについて吉川座長は「20か月齢以下にリスクがないということではない。ただ、現在のようにSRMの除去が行われていれば異常プリオンに汚染させることはない」と回答した。
また、専門調査会では20か月齢以下から現在の検査法で検出は困難、との記述は数字が一人歩きするとの判断から削除することになったのではないか、なぜ、記述が残ったのかとの質問もあった。
吉川座長はこれについては「検出限界が何か月齢にあたるのか数値で示せるのかという議論はあったが、限界があること自体には異論はなかった。本文に記述されても数字の一人歩きは避けられたと思う」と述べた。
そのほか、牛から人への感染によるvCJD(変異型クロイツフェルトヤコブ病)の発生リスクはわが国では最大でも0.9人と報告しているが「対策がとられる以前の特定危険部位の流通実態が考慮されていなのではないか」、「牛肉エキスを使用した輸入商品などのリスクも入っていない」など試算の条件が明確ではなく、「リスクはそれほど高くないという数字として0.9人が一人歩きするのではないか」との声もあった。
これについて寺田委員長は「すべてのリスクを考慮できなかったのは事実だが、現在の対策を前提にすればわが国では牛肉からの感染リスクは小さいということも理解してほしい」と語った。
そのほか生産者からは「全頭検査をするからすべての牛に耳標をつけた。その作業ではけが人も出るほどだった」と全頭検査体制を現場も支えてきたことを指摘する意見もあった。またJA関係者からは「報告書は科学的事実を整理したというが、20か齢以下では発見されていないという事実を今後のBSE対策では十分考慮すべき、と政策変更を求める記述がある。それなら、全頭検査体制を現場ががんばって支え、それで生産者は立ち直ることができたことも、十分考慮してほしい」との意見も。寺田委員長はこれらの意見を今後の議論の参考にするなどと語った。
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