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麦・大豆・甘味資源作物対策全国代表者集会=9月29日、東京・半蔵門の東條会館 |
JAグループは来年産の麦・大豆・甘味資源作物対策で生産者の現行手取り確保などを求めて9月28、29両日、都内で全国代表者集会を開き、参加者が地元選出の国会議員に要請に回るなど精力的に運動を展開した。農水省は政策価格と関連対策を見直し、全体として助成を減らす方針だが、自民党は野菜・果樹・畑作物等対策小委員会で10月1日の政府決定に向け、JA全中などの要請を反映させるよう調整を図っている。
畑作物は食料自給率向上のための重要品目だ。麦と大豆は水田農業で本作化が進み、畑作地帯では合理的な輪作体系を維持する柱となっている。
また、甘味資源作物は北海道、鹿児島県、沖縄県の地方経済を支える基幹作物だ。このため地域の実態を十分に踏まえた畑作の基本政策が求められている。
JAグループは水田集落ごとの話し合いを基本に水田農業ビジョンの実践強化運動を展開しているが、集会ではJA全中の花元克巳副会長が、畑作物の政策が後退すれば「現行制度を骨格として設計した集落ビジョンにひびが入る」と水田構造改革を進めていく上での問題点を指摘した。
また、農水大臣賞を受賞した日本一の麦生産者は約21ヘクタールを経営し、1等比率が極めて高いが、それでも粗収益の68%は麦作経営安定資金から得ているとの事例を挙げ、手取り水準の確保や現行制度の維持が求められる実情などを訴えた。
品種横断対策も視野に畑作物は価格政策の対象であるため、食料・農業・農村基本計画見直しの中で、品目横断的な経営安定対策(所得政策)への転換とからんで議論されている。このため決意表明では北海道代表が「平成19年度からの所得政策導入を視野に入れ、農政転換に対応できるようにするためにも、ぜひ要請措置を実現させなければならない」と今回の運動を位置づけた。
集会では、さらに相次いで襲来した台風の被害が非常に大きいと各代表が指摘し、この面からも畑作対策の重要性を強調。沖縄代表は「畑作で安定した暮らしができるような政策を求めたい」と原点を訴えた。
28麦作経営日の集会では自民党小委員会の今村雅弘委員長が要請を受けて「生産現場の努力だけでは、どうにもならない問題もある。そこに(政策)支援の必要があり、問題意識は(要請内容と)同じだ。小委員会としても全力を挙げて検討を重ねている」などと答えた。
同小委員会は30日に論点整理をして農水省と折衝に入るが、論点整理にJAグループの要請が書き込まれるかどうかが焦点となる。 |