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営農指導の強化など経済事業改革基本方針素案まとまる (10/28)

 JA全中の経済事業改革中央本部委員会は改正農協法に基づく改革の「基本方針」素案を10月26日とりまとめた。内容は昨年末に定めた「改革指針」をベースにし、新たに営農指導機能の強化と、カントリーエレベーター(CE)など共同利用施設の運営改善という2項目を加えた。
 素案は11月5日の全中理事会を経て組織協議の後、来年3月の全中総会で決定し、法的効力のある「基本方針」となる。素案の柱は▽改革の基本方向▽改革実践の仕組み▽事業目標▽財務目標など8本。
 うち事業目標は一番に営農指導を掲げた。県域の改革本部は今年度中に営農指導の機能強化策を策定し、各JAは来年度以降に営農指導の位置づけを明確にして機能強化をはかる。
 次いで(2)消費者接近のための販売戦略見直し(3)生産資材価格引き下げ(4)拠点型事業など(物流、農機、給油所、Aコープ)の収支改善と競争力強化(5)CEなどの運営改善となっている。
 (5)については、収支に問題のあるJAは、利用率の向上、適切な利用料設定、施設の再編、受益組織への移管などの運営改善に取り組み、赤字をなくす。改革本部は問題点抽出の調査やマニュアル作成、モデルJAの実践などを支援する。
 財務目標では「農業関連事業」については共通管理費配賦前の事業利益段階、また「生活その他事業」については純利益段階で、すべてのJAが原則として平成17年度までに収支均衡をはかる。しかし県域改革本部の中期計画などの関係から18年度を目標年次としてもよいとした。
 また合併構想実現JAのうち、経済事業の各部門損益の赤字幅が2期連続で自己資本対比3%以上のJAに対しては、県域改革本部が優先的に改善支援する。


◆事業縮小恐れる意見も本部委員会の議論

 JA全中が今回とりまとめた経済事業改革の「基本方針」素案に反映された前回協議の主要な論点を拾ってみると▽経済事業の問題点ばかりを追及すると、趣旨を誤解しているJAは担当職員を半減させてしまうといったような改革になる心配もある▽組合員が求める改革は、生産資材が安くなったか、JAへの出荷で有利な販売になったか、どうかであり、これらが見えてくれば改革を理解してくれる▽単に(課題の)高いハードルをクリアするという一方的な動きだけではだめだ、などがあった。
 また改革の「基本方向」については▽農協の理念・運動論を前提に考えた経済事業改革は、地域農業をどうしていくか、に行き着く▽一番重要なのは、地域農業の振興とJAの改革だ、などの論点が出た。
 こうした論点を踏まえて「基本方向」には「経済事業は、農家組合員の営農と生活を維持・発展させる重要な役割を担っていることから、事業システムの抜本的見直しを含めた改革を断行し、競争力の強化と経営基盤の確立を同時に図ることが喫緊の課題」などという修正の文言を入れた。
 また財務目標は「中央本部が定める事項」とし、当初の素案を修正して、簡潔にした。高いハードルを越えようとして収支のつじつま合わせにならないように配慮したようだ。
 今回の本部委員会では、国の農政改革など情勢変化に対してJAグループの経済事業改革はどうも「受け身ではないか。改革は主体的に自らが推し進めるべきだ。基本方針には、そうした強調がもっと必要」といった主体論や、またJAトップの改革への強い意思とリーダーシップが求められる、などの意見が出た。

(2004.10.28)


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