農業協同組合新聞 JACOM
   
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組貿の黒豚肉輸入で全農に業務改善命令 (10/29)

 JA全農の子会社(株)組合貿易が輸入黒豚肉の不適正な取引をしていたなどとして農水省は10月29日、全農に業務改善命令を出した。全農は他の子会社の不祥事でも同命令を受けており、今回は6度目で、1組織に対する発出としては異例に多い回数となった。
 鹿児島県鹿屋市の業者がカナダ産の黒豚肉を同県産に偽装していた事件について同省の調べでは、組貿が直接関与した事実は認められなかったものの、輸入元は組貿だった。
 このため命令は、農協法に基づき「全農の会員と組合員に関わらない事業を行い、結果として損失を発生させたばかりでなく、その信頼を裏切ったことを踏まえ、全農グループとして経営理念を明確にし、その周知を図ること」としたのが特徴だ。
 また処分理由の一つには、社内規則に反して、国産品と競合する外国産豚肉を輸入し、しかも、その取引関係の書類をほとんど保存していないなど、内部管理体制に重大な問題が認められた、ということがある。
 さらに全農としては、組貿から、偽装業者との取引があることや、輸入黒豚肉の在庫が膨張しているとの報告を受け、在庫処分で1億500万円の損害を発生させながら、他の件で業務改善命令を実施中にもかかわらず、同省に報告をしなかったこともある。
 命令は、真相の究明と責任のある役職員の厳正な処分および改善計画の策定の2点。計画の内容は(1)経営理念の明確化(2)法令順守体制の強化(3)子会社管理態勢の強化の3点。
 なお組貿は、穀物など飼料原料の輸入が6割。ほかに燃料、肥料などを輸入しているが、取引先の要請で平成12年6月からカナダ産豚肉を輸入。昨年1月に輸入をやめている。
   

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 JA全農は29日、業務改善命令を受けて「厳粛に受け止め、指示された法令などの順守態勢、子会社管理態勢の確立に向け、一層の信頼回復に取り組む」とのコメントを発表した。

(2004.11.2)


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