今年3月9日に北海道標茶町でBSE感染が確認された国内11例目の牛から、その後の研究で現在指定されている特定危険部位(SRM)ではない坐骨神経、腓骨神経や副腎から異常プリオンが検出されたことが明らかになった。
これは11月1日から仙台市で開かれていた「プリオン病国際シンポジウム」で(独)農業・生物系特定産業技術研究機構動物衛生研究所プリオン病研究センターが報告したもの。
この牛は94か月齢と高齢で死亡牛検査で見つかった。
検出された異常プリオンの量は微量だが、ウエスタンブロット法で検出されたという。
厚労省と農水省によると、これまでもBSEが相当進行した牛では、背根神経節、三叉神経節などで異常プリオンが検出されており、マウスなどへの脳内接種実験で感染性を持つことが確認されている。ただ、今回の研究は、はじめて神経線維や副腎で検出された事例。今後、プリオン病研究センターでは感染性を持つかどうかの実験も行う。
厚労、農水両省は、この発表について「今回、末梢神経組織の一部や副腎で確認された異常プリオンたん白質の量は、現在、SRMに指定されている三叉神経節で検出されたものより相当少ない」ことから、「今後行われる感染性の試験結果や国内外の知見や議論をふまえ食品安全委員会のリスク評価に基づき対応する」として当面、現行の対策は維持する方針。また、厚労、農水両省によるとヨーロッパではBSEに感染牛の末梢神経線維を使った動物実験では感染性が認められなかったことが報告されているという。
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