改正農薬取締法施行(昨年3月)の経過措置として生産量の少ない地域的な特産農作物(マイナー作物)については、適用作物以外への農薬使用が認められていたが、この措置を当初予定通り来年3月末で終了すると、農水省が11月18日発表した。ただし一部に限っては措置を延長する。同措置は、都道府県が申請し、農水大臣が承認した作物については農薬使用を認めるものだが、その承認が一部を除いて取り消しとなる。
改正法では、適用作物以外の農作物に対する農薬使用が禁止されたが、マイナー作物用の農薬登録は非常に少ないため、特産作物などの生産できなくなるとして経過措置が設けられ、現在延べ約9000件が大臣承認となっている。
これらの取り消しによる生産への影響が心配されるが、うち約6000件は、農薬を使わなくても、雨よけや防虫ネットなど現場の工夫で防除できる方法がある(同省消費安全局農産安全管理課農薬対策室)とのことだ。また適用農薬も皆無ではないという。
さらに1500件前後は都道府県による試験が進んで、登録に必要なデータがそろい次第、来年度にも登録が取れる見込みになっているとした。
問題は残り1500で、試験ほ場が台風や長雨で流されたり、泥に埋まったりして、データがとれなくなったケースがあることだ。真夏日が長過ぎて病気が発生しなかった場合もあり、これらは試験のやり直しのため経過措置を1年延長して登録の取得を待つ。
これらの中には、例えばコマツナとミズナなどをひっくるめて適用作物とする登録のグループ化を目指す農薬もある。
同省は、緊急性や必要性の高い作物について経過措置を延長するが、作物名などの公表は来年2月以後になるという。
また大臣が承認した約9000件をランク付けした場合、重要度が高いのは約2400件と見ている。
しかし、これらは複数の都道府県からの申請を延べで数えているため、重複を排除すれば9000件が5000件ほどになり、それぞれに分類される数字も減ってくることになる。
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