本紙既報の通りこのほど、『平成16年度(第5回)民間部門農林水産研究開発功績者表彰事業』(主催:農林水産省、(社)農林水産技術情報協会)の受賞者が決定し、11月26日、東京都千代田区の法曹会館で表彰式および農林水産大臣賞受賞者功績発表会が行われた。 栄えある農林水産大臣賞に輝いたのは、「新規の化学構造と生物活性を持つクロロニコチニル系殺虫剤の創出」(バイエル クロップサイエンス(株)の塩川絋三氏ら4名)、「クロマグロの完全養殖達成」(近畿大学水産研究所・熊井英水氏)、「長期貯蔵性、乾腐病抵抗性を持つ画期的タマネギF1品種の開発」((株)七宝・岩田豊志氏)の3テーマ。
クロロニコチニル系殺虫剤イミダクロプリド(有効成分)は、日本では「アドマイヤー」などの商品名で年間100億円の売上があり、世界的には「コンフィドール」、「ガウチョ」「プロバド」などの商品名で1000億円(平成15年度)を超える大型剤に成長している。交差抵抗性を示さず、新規の殺虫剤開発として先駆的役割を果たしている。
クロマグロでは、1970(昭和45)年の研究開発から30余年を経て、平成14年から親マグロが産卵を開始し、世界初のマグロ完全養殖を達成した。日本人が多くを消費し、資源の減少が懸念されているクロマグロの完全養殖技術の確立が高く評価された。
タマネギF1品種では、いずれも乾腐病に強く均一なため、機械栽培に適応し、北海道のタマネギ大規模栽培を可能とした。雄性不稔性利用や乾腐病幼苗検定法など、既往の技術を改良し、多くの優れた品種開発に結びつけた実績などが受賞の対象となった。
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