牛に耳標をつけて履歴を管理する牛肉トレーサビリティ法が1年前に生産段階などで施行されたが、今年12月1日からは卸売、小売店などの流通段階でも施行され、国産牛肉の売場やパックに個体識別番号(耳標の番号)、またはロット番号の表示が必要となった。
消費者が携帯電話などで独立行政法人・家畜改良センターのホームページにアクセスし、番号を入力すれば、牛肉の素性がわかる仕組み。情報は牛の種類、いつ、どこで生まれ、育ち、と畜されたかなど。番号表示がない商品は履歴をトレース(追跡)できない輸入牛肉ということになる。
法律の特徴は、焼肉・しゃぶしゃぶ・すき焼き・ステーキ店にも表示を求めたこと。外食を対象にしたトレーサビリティの実施は世界で初めて。メニューごとに番号を表示し、客にわかるように店内に掲げるか献立表に載せる義務がある。
また卸売、小売、飲食店ともに仕入れ帳簿の備え付けが義務づけられ、卸では販売記録も必要となる。
表示には費用や手間がかかり、店主が高齢者で小規模店の場合などは負担が重くなる。特に飲食店には食品表示の経験がないことから、当初は実施が困難なケースも予想される。
このため農水省は厳しい措置はとらず、出先機関の巡回点検などで、指導をくり返す方針。「BSE対策として、やむを得ない業者負担であり、できるだけ価格にはね返らないよう企業努力をお願いしたい」(同省・牛トレーサビリティ監視班)という。
表示番号が正しいかどうかを確認するDNA鑑定の準備はほぼ整えた。
なお法の正式名称は「牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法」。 |