政府の「食料・農業・農村基本計画」見直しに対するJAグループの政策提案を検討するためJA全中は「JAグループがめざす政策転換の方向」と題する討議資料を13日の理事会でまとめ、県段階での討議を始めた。資料は「地域農業の担い手をどうつくるか」を取り組みの中心課題に挙げて、担い手の「借り入れ農地や作業地の分散を拡大しかねない」従来の手法でなく「農地の利用を面的に集積していく」仕組みが必要などと提起した。
■新たな「農地利用計画」を提起
討議資料は政策転換を迫られる背景として▽担い手と農地の減少▽関税が下がっても対応できる仕組みの必要性、などを挙げた。
また「政策転換にあたって何を求めていくのか」については、まず「農地を農地として利用することを担保する」農地制度の抜本的見直しを求めた。
次いで利用集積は、所有を維持しながら、集落・旧村・学校区などの「地域で団地的な利用を徹底することが現実的」とした。
そのためには地域を単位に「農地利用・農村整備計画」といった農業・農村の将来像を描くような取り組みを基本にする仕組みをつくること、を提起した。
さらに担い手は国が決める「プロ農業経営」ではなく、地域ごとに、その特性を踏まえて特定し、育成していく仕組みを求めた。
担い手に対する経営所得安定対策は、品目横断的な面積支払いを基本に、品目に着目した数量支払いを組み合わせて生産者の努力に報いる仕組みにするようにと提言した。また所得安定対策の対象を幅広くするようにと求め、集落営農なども含めた。
■地域合意で担い手と将来像を
また担い手だけでは農地や水路・農道などの資源保全が難しいため、これを支える地域の協同活動を支援する直接支払いや、環境保全型農業への支援対策が必要とした。
これらの政策転換に向けた取り組みの基本としては「地域の合意に基づいた農業・農村の将来像を描くこと」を強調した。
将来像としての「農地利用・農村整備計画」は、農業者・地権者・住民が話し合い、JA合理化法人が事務局となり、これらを市町村や関係機関が支援して策定するなどというイメージ図を提示したが、条例で農村土地利用計画を策定している市町村があるので、それらも踏まえて検討する。
いずれにしても計画を立て、実践していく仕組みの確立が必要とした。
県段階の討議結果は5月末に一次集約する。さらに生産現場の討議を続けて7月1日に2次集約し、7月15日の全中理事会で政策提案を決める。同時に来年度の予算案と税制改正にかかる政策提案も決める。
(2004.5.17)