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農水省がFTA交渉で基本方針
関税撤廃に例外品目 (6/9)

 メキシコとの自由貿易協定(FTA)交渉で政府はコメやでんぷんなどを関税撤廃の例外品目としたが、その他の国との交渉でも撤廃が困難なものは「例外品目とする」という「経済連携(EPA)、自由貿易協定(FTA)における農産物の取り扱い基本方針」を農水省が6月9日決めた。
 基本方針は「撤廃が困難なもの」として▽関税割当品目▽輸入割当品目▽関税による保護効果が高い品目などを挙げ、また「例外」の手法には、除外のほかに再協議があるとした。
 方針は8項目からなり▽撤廃した場合には、必要に応じて経過期間を置く▽2国間セーフガードを設ける▽相手国の農家所得向上などに協力した結果が、我が国への輸出拡大(ブーメラン効果)に直接つながらないように注意する▽我が国からの輸出拡大に向け、相手国の事情に応じ、関税撤廃などを求める、ことなどを盛り込んだ。
 この日、同省はFTA本部の会合を開き、本部長の亀井善之農相が出席して同方針を決めた。

■各国とも多い「例外」

 現在、締結されている諸外国のFTAでは多くの例外品目があり、例えば韓国とチリの協定では、韓国がコメ、リンゴ、小麦粉調整品など21品目を除外し、また豚肉や麦など373品目を再協議の対象とした。一方、チリ側では小麦など42品目を除外した。
 またEUとメキシコの間では、EUが食肉など595品目を、メキシコがコメなど310品目を再協議の対象とした。
 いつ撤廃するかについては品目によって即時もあれば5年後、10年後もあり、米国と豪州の間では米側に18年後という品目もある。

■タイは例外認めず

 日本がFTAを正式に結んだ国はまだシンガポールだけ。しかし政府間交渉は5カ国との間で進行中だ。うちアジア3カ国との交渉は今年始めからスタートした。
 農水省が9日までにまとめた3カ国別の資料によると、タイは鉱工業品を含め全品目の関税撤廃を主張。例外品目を原則として認めていない。しかも日本への食料品輸出が多い。日程は6月16日から2日間、第3回交渉を行う。
 フィリピンは例外を認めることに反対していない。7月5日から2日間、第3回交渉を行う。またマレーシアは双方が柔軟性を持って努力すべきであるとの考えを示している。第4回交渉は7月の予定。
 いずれにしても、これからが具体的な品目交渉の本番入りとなる。日本の農畜産物輸入額から想定される3カ国の主要な関心品目は次のとおり。

■3カ国の主要関心品目

 《タイ》農林水産品の輸入総額3279億円▽うち鶏肉の輸入先としては第1位で451億円。ただ鳥インフルエンザ発生で現在は加熱処理ずみの肉と加工品だけを輸入。鶏肉調整品の輸入は303億円▽また砂糖(粗糖)でも輸入先第2位で106億円▽でん粉誘導体は第1位▽コメ輸出量では世界1のタイだが、日本の輸入量は12万トン、金額で36億円。コメ粉調整品は37億円▽そのほかパインアップル缶詰やアスパラなどの野菜輸入も目立つ▽ほかに水産品も多い。
 《フィリピン》農林水産品輸入総額1102億円▽バナナ輸入の約80%は同国から。514億円▽パインアップルは97%で74億円。
 《マレーシア》農林水産品輸入総額1825億円▽合板の輸入先第2位で656億円▽あとは水産品など(以上の数字は02年財務省貿易統計から)。 (2004.6.14)



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