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学校給食を楽しむ子どもたち |
「朝食も学校給食で」と望む親たちが2割、とりわけ35歳以下の若い親たちでは3分の1にも及ぶという実態が農林中金総合研究所の調査でわかった。前回調査に比べ、食材や給食に対する関心、こだわりの希薄化がかなり見られたが、一方では、学校給食がなくなっては困るとする割合が高く、期待と依存度が強まっているという結果が出た。
食育が問われ、地産地消運動の中に学校給食を位置づけるJAが目立つが、同総研は80年と89年に学校給食を調査。今回は昨年7〜9月に実施。今年7月22日分析結果を発表した。調査対象は▽主として小学5〜6年生約1700人▽その保護者約1600人▽学校給食栄養職員▽生産者。
地元・県内産の食材を使っていると回答した栄養士は8割に及び、地元野菜の年間利用も4分の1あり、前回に比べ地産地消にはかなりの進展が見られた。
その背景には、食の安全性への関心があるものの、有機農産物の利用は進んでいない。しかし約6割の親は、いかなる遺伝子組み換え食品も給食には使うべきではないとしている。
また栄養士の9割は「給食を通した食教育の難しさを感じる」と答えた。主な理由は、家庭と連携できないまま学校だけの教育には限界があることと、給食運営の効率化だ。
栄養職員は、幅が狭くなっている家庭の食を補完する献立を工夫し、増えてきたアレルギー児対応もしているが、運営の効率化は、きめ細かな対応を難しくしているという実態も出た。
子どもたちはカレーやハンバーグなど好きなものを繰り返して食べるが、それを問題だとする親は、前回調査の時より著しく少なくなっており、またファストフード型食嗜好は親子2世代のものとなっている。
子どもたちは、ご飯を食べても、その半数は味噌汁を飲まないし、丼ものや味のついたご飯が好きな子が4割もいる。現代版「ハレの食事」の筆頭には、からあげなどが挙がった。
給食に地元農産物を使っている栄養士は「顔の見える食材」が子どもたちの食と農についての意識と行動に影響し、栄養士自身も農業を知ることによって、より深みのある食教育が実践できることなどを指摘している。
同総研レポートの題名は「学校給食50年ー強まる食と農の結節点としての役割、そして課題」。
(2004.7.26)
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