農業協同組合新聞 JACOM
   
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一層の生産資材費低減へ「行動計画」を改定
農業生産資材問題検討会が「中間報告書」 (10/20)

◆これまでの取り組み

 農業生産資材費をめぐる情勢と低減に向けた取り組み、行動計画の取組状況と評価、行動計画の見直しに関する基本的な考え方を検討する「農業生産資材問題検討会」(座長:関谷俊作農政調査会長)は、7月16日、9月10日に検討会を行い、その「中間報告書」がこのほどまとめられた。
 農業生産資材費の低減については、平成7年のUR農業合意の実施にともない生産資材の低減が強く求められたことと、円高による内外価格差への関心が高まるなかで、学識経験者、資材の製造関係者、全農を含む流通関係者、利用関係者からなる農業生産資材問題検討会において、低減方策についてとりまとめられ、8年に主要3資材である肥料・農薬・農業機械の製造・流通団体と都道府県(以下、関係団体)において行動計画を策定し、取り組まれてきた。
 12年には、同年3月に閣議決定された「食料・農業・農村基本計画」の方向を踏まえ、同検討会がさらなる資材費低減のための取り組みの基本方向をまとめ、13年に関係団体が行動計画を改定し取り組んできた。

◆農業の競争力強化のために、さらなる低減化を

 「中間報告書」は、これまでの取り組みを「低廉な資材の普及が拡大するなど着実に進展」し「十分とは言えないものの一定の成果が上がっている」と評価。そのうえで、
▼取り組みの中には具体的な目標数字が明示されていないものがある。また、数値目標の中には製造・流通段階と利用段階との間で乖離がみられるものがある。
▼食料・農業・農村政策審議会の「中間論点整理」に示された担い手への施策の集中化・重点化、構造改革の推進などを踏まえた取り組みを進めるべきである。
▼農業者のコスト意識を高めるような取り組みを強化することが必要。
▼関連企業の組織再編を含む経営合理化のいっそうの進展が、資材費のさらなる低減をはかるうえで必要。
という課題を示した。
 そして行動計画の改定の必要性について、新たな基本計画策定に向けた検討が進められていること。「厳しい国際環境等にも対応し得るよう、構造改革を通じて農業の競争力の強化を図ることが必要であること等が指摘されて」おり、こうした課題に対応するためには、「農産物の高付加価値化を図る一方で、生産コストの低減を図ることが重要であり、生産コストの相当割合を占め、かつ、生産コストの内外価格差を生み出す要因の一つである農業生産資材費について、製造・流通・利用の各段階における取組を通じて、より一層の低減を図ることが必要である」としている。

◆大口需要者へのメリット還元など――基本方針

 改定にあたっての基本方針としては、
▼新たな食料・農業・農村基本計画策定に向けた検討に合わせて、10年先を展望して策定し、おおむね5年目に実施状況を評価する
▼できる限り達成度を把握することができる数値目標を明示する。現行の数値目標については、よりいっそう資材費低減に資するよう目標設定の検討を行なう
▼担い手の資材費低減が図られることを主眼に、製造段階は低廉な大型機械の供給拡大、流通・利用段階は大口需要者に適切にメリット還元する取引価格の設定等の拡大、資材の効率利用に向けた経営指導等の強化
▼農協系統は、JA全中が定める経済事業改革指針との整合性の確保に留意し、資材供給コストの低減に向けた経済事業の合理化・効率化の取り組みを効果的に推進する、ことなどをあげている。
 また、利用段階では「農業者の適切な資材選択を促進するための栽培暦の見直し」や生産コスト低減を実現している事例の紹介、実証ほ場設置、農協営農部門などによる経営指導など意識啓発活動について重点的に取り組むべきだとしている。
 行動計画の改定は、17年度のできるだけ早い時期までに行い、それに基づく取り組みを推進するとしている。

(2004.10.20)


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