農水省のJAS(日本農林規格)制度のあり方検討会は、1年前から制度の枠組みを議論。見直しの方向性をまとめ、今年10月末に最終報告を出した。飲食料製品が多様化し、JASマークの意味が消費者にわかりづらくなっていることなどから、製品の特色を明確にした「特色規格」か、または取引の合理化に役立つ「標準規格」のどちらかに整理し、それができない規格は廃止してJASマークの対象品目を削減する、などの方向を打ち出した。現状は「等級別規格」と「業務用取引規格」を加えた4要素が混じり合っている。
一方、新しいタイプの規格を増やすことを検討する必要もあると提起した。
JAS法は、品質に関する基準を含むことを規格の必要条件としているが、今後は、これに「流通」を取り込み、例えば(1)基準通りの方法で流通された製品であることを認証する規格(2)流通段階の履歴情報が基準通りに記録・保存され、公表された製品であることを認証する規格、などの制定が可能かどうかを検討する必要があるとした。
すでに流通段階を含めた生産情報公表JAS規格の商品が「JAS牛肉」として出回っているが、ほかにもトレーサビリティシステムの進展に対応した新しい規格の検討方向を示した。
JAS制度は、JAS規格制度と、品質表示基準制度の両制度からなり、品質表示は全飲食料品に義務づけられている。
しかし、インターネット販売などでは基準通り表示されていない場合がある。このため消費者が、それを見て購入を決める媒体についても品質表示基準で規制できるかどうかを検討すべきであるとも提言した。
なお平成12年施行の改正JAS法でJAS規格は5年に一度見直す(確認、改正、廃止)ことになっており、今回の最終報告の趣旨は来年度からの見直し基準に盛り込まれる(農水省消費・安全局表示・規格課)。また同省は必要な法改正についても年度内を目途に検討する。
◆JAS豚肉発売へイオンが牛肉に次いで
スーパー大手のイオンはJASマークつき豚肉のパック商品を11月下旬からジャスコ店で販売する。「生産情報公表豚肉JAS」の認定を取得した商品だ。生産と流通の両段階で第三者機関から認定を受ける規格で、イオンは食肉のプロセスセンターである(株)フードサプライジャスコ南関東センターが「小分け業者」の認定を受けた。豚肉流通では第一号の認定。
生産面では青森の(有)十和田湖高原ファームが「生産工程管理者」に認定され、同ファームとの連携で「JAS豚肉」の初登場となった。同農場から仕入れ、南関東センターで加工したパックにはJASマークがつく。
抗生物質を使用しない飼料で肥育し、昨年から「育味豚」(いくみとん)として展開している商品で、南関東センターが加工した育味豚についてはイオンのホームページから飼料名や使用した動物用医薬品名までがわかる。
イオンは今春、日本で初めてJAS牛肉を発売。豚肉でもトップを切った。なお「小分け業者」の認定は南関東だけでなく全国各地のプロセスセンターでも取得していく方針だ。 |