世界の穀物生産量が増加し、5年ぶりに消費量を上回るという04/05年度の国際需給見通しを農水省が9日発表した。前年度に異常気象などで落ち込んだ生産量が回復し、増加率は8%の見込み。しかし在庫率はわずか0.1ポイント増の17.8%にとどまり、依然として低水準の見込み。背景には開発途上国の旺盛な飼料用などの需要がある。
価格はシカゴ相場を見ると、小麦、トウモロコシ、大豆ともに下落基調だ。とくにトウモロコシと大豆は米国で過去最高の生産量が見込まれる。
個別に見ると、小麦は米国の生産の7割を占める冬小麦が減少するが、EUやロシアなどで増加し、世界全体では約6億1600万トンと約12%増の予想。
小麦消費量は中国などで減少するが、EUなどで増えるため、全体で、わずかの増加を見込む。04/05年度の世界の期末在庫は、中国で1割強減少するが、EUや米国で増加するため、全体で8%増加の見込み。
トウモロコシの生産量は5年連続で増加し、約6億8400万トン。消費量は米国で飼料用や、トウモロコシを主原料とするエタノールの需要が増加。またEUや中国の消費量も増える見込み。在庫は6%強の増加が見込まれる。
大豆はブラジルとアルゼンチンの生産量合計が一昨年から引き続き米国を上回るとされ、世界全体で約21%と大幅増加を見込んだ。しかし南米は04/05年度の作付が、これから始まる見込みなので今後の作付動向などに注視が必要だ。消費量は8%強、在庫量は約54%と大幅増の見込み。
コメ(精米ベース)生産は、インドでやや減少するが、中国で12%の増加が見込まれ、世界全体では2.5%増を見込んだ。 |